第12話 イリアと一緒に出掛けることになった俺氏
「ここでいいのか.....?」
「ここでいいはずだよー。多分、そんなには遅れてこないはずだから」
「そっか......」
イリアと遊ぶ約束をしてから一週間が経った日曜日の昼間。
俺こと祐は、燐と一緒に待ち合わせにしていたアークにある公園に来ていた。
公園って言っても、普通に日本と変わりはしなかった。
普通に噴水はあるし、花壇とかベンチとか遊具とか。
強いて言うならば、自動販売機が無いくらいだった。
あとはトイレも普通にある。
「そう言えば、ここの人たちって飲み物とかどうしてるの?」
ちなみに俺は、毎日ツヒールを飲んでいた。(ツヒールの説明は、第3話を参照......byゆん)
......俺は何も言わないぞ。
話の続きに行こうか......。
ツヒールに関しては、俺は飽きはしなかった。
不思議と、ツヒールは飽きないんだよな......。
「そうだねー......基本的にはツヒールを飲むけど、たまにスィークっていう飲み物とかねー」
「スィーク?」
俺は近くにあるベンチに座りながらそう言うと、燐もベンチに座った。
「うん、スィークは......何て言えばいいかな、その......ちょっと待ってて」
「え?あ......」
燐はそう言うとなぜかどこかへと行ってしまった。
「お待たせ~」
燐がどこかへ行ってしまってから数分経った。
すると、どこかからかイリアっぽい声が聞こえた。
「ああ......」
ゆっくりと歩きながら手を振る銀髪少女イリアの姿が見えた。
「って燐は~?」
「ああ、なんか待っててって言ってからどっか行っちゃった」
「ふ~んそうなんだ~」
イリアはいつもよりもゆっくりと声を発していた。
「んっしょっと......お兄さんの腕......すっご~い!」
するとイリアは俺の腕に抱き着いてきた。
......まあ、この光景は燐のでもう慣れてるからね。
「おっきくて~......なんていうかそのアレみたい~!」
アレに関しては何とは言わないが......な。
「お兄さんのアレってこんなにおっきかったりするの~?」
「卑猥に聞こえるから止めて!!」
訳の分からないことを言っていると、公園の入口から燐が入ってくるのが見えた。
「お兄ちゃん、あ、それとイリア......」
燐は若干息を切らしながら言う。
「どこ行ってたの?」
「ちょっと、飲み物屋さんっていうか......はい、これスィークだよ」
「あ、ど、どうも......」
「あ~スィーク買に行ってたんだ~」
とりあえず俺は燐から受け取った缶のスィークを開けてみて飲んでみた。
「......あー、こういう感じね......」
「美味しい?」
「うん......?まあ、美味しいと言えばそうだね......?」
スィークに関しては、なんというか炭酸の飲み物だった。
味は......あんまりないのだが、例えるなら炭酸水を飲んでいる感じだった。
でも、なんか後味に雑味と言うか何かがある感じだった。
まあ、でもこれはこれで美味しい。
「それで......どこに行くの?」
俺がイリアに質問するとイリアは嬉しそうに、
「今日はね~、特別なことをしてあげるから今夜楽しみにしててね~」
......楽しみってなんだ?
もしかして、俺イリアになんかされるのか......?
そんな疑問を持つ俺に、燐とイリアは抱き着いてきた。
......まあなんかされると覚悟しておくことだな。
その後、俺はイリアにどこかへと連れて行かれた。
右隣にはピンク髪美少女の燐。
左隣には銀髪美少女のイリア。
この光景は、他人からして見ると羨ましく見えるそうだ。
なぜかというと、周りからの視線が痛いほど俺に来るからだ。
「ふひひっ......」
燐は笑みを浮かべながら俺の腕に抱き着いてくる。
それに反論するかのようにイリアも俺の腕に抱き着いてくる。
この状況はどう見たって、ヤバい。
なんかイケない事をしている気分。
実際そんなことは決してしないからな?
......っていうかここって異世界だよな......?
なんか異世界っていう気がしなくなってきたんだよな......。
「......って何だ?」
俺達が行く先には多くの人だかりがあった。
「あー......これは......」
すると燐はその人だかりに近づいて行く。
俺とイリアも燐について行き人だかりをかき分けながら進むと、そこにはモンスターがいた。
「どうするの~?」
「とりあえず倒すしか無くないか?」
「あ、でもお兄ちゃんが倒そうとすると多分死ぬと思うから......ここは私とイリアに任せてよ」
「あ、はい......」
俺は倒すことを提案したが、俺が戦うのはダメだというような感じになってしまった。
まあ、レベルが貧弱な俺にとってそのモンスターを倒すのは困難なのだろう。
「それじゃあ最初は......『ツイスト』」
イリアがそう言うと、そのモンスターの周りに炎が出てきた。
「それから~......『サイスト』」
炎が出てきたと思ったら、その炎はモンスター達を焼いていった。
しばらくすると、そのモンスターは聞いたことも無いような雄叫びというか声を上げ灰になっていった。
「おー、やるねー」
燐がパチパチと拍手をしている中、俺は燐たちの後ろでその光景を見ていた。
「えーまだいるのー?それじゃあ次は私だねー」
燐はイリアと入れ替わるようにして前に出ると、以前出した魔法をモンスター達に放った。
「『サイガヒーン!』」
するとモンスター達は結構な距離を吹き飛んで行った。
「次はどうしよっかなー......これでいいや、『ミーンギエス!』」
すると燐はそのモンスター達の近くに行って魔法を放つとそのモンスターは死体ごと消えて行った。
「これでいいね~、それじゃあいこ~」
一区切りつくとイリアは何事もなかったように歩き出した。
「......あれっ、どうしたのお兄ちゃん?」
「えっ?ああ......いや」
動かなくなった俺を見て燐はそう言った。
俺としては、かっこいいなと思ったのは半分で、怖いと思ったのが半分だった。
魔法も使い方次第では、立派な武器というか、人を殺せるぐらいの力はあるんだなと改めて思った。
まあ、俺が何かしたらいつかはああなるんだろうなと思った。
「......もしかして自分もああなると思った?」
「え......あ、まあ......」
「大丈夫だって、イリアもお兄ちゃんに対しては使わないから、まあなぜかっていうと......考えれば分かるよ」
「なんで教えてくれないの?」
「えー?だって、イリアは自分から言いたいはずじゃん?」
何を言いたいんですかね......。
「まあ、将来の人だからってことだけは言っておこうかな」
「え?どういう......」
「ふひひっ!教えてあーげないっ!」
歩きながらそう言う燐に対して俺はイラッとは来なかった。
むしろ俺は燐と仲良くなったんだなって思った。
「ほーら、来ないと置いてっちゃうよー!」
「あー、分かったよー!......将来の人ね......」
燐の言ったことを俺は考えながら燐に追いつき一緒にイリアの後を追った。
ちなみにイリアまで結構な距離があったというね。
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