第36話 燐はやっぱりかわいい

「ねぇお兄ちゃん、今日は一緒に寝よっ?」

「う、うん、良いけど......今日はっていうか、今日もだろ?」

「あははっ!細かいことは気にしちゃダメー」

俺の部屋にて。

今日は.....今日はっていうか、今日も燐と一緒に寝る。

毎日燐と一緒に寝ているが......なんか、一緒に寝ていることで恋人感が出てくる。

「......はいはい」

「んっ......はぁ、お兄ちゃんの匂い......」

「ば、ばかっ、匂い嗅ぐなって......!」

「ふひひっ、どういわれようが、私はやりたいことをするのだー!」

「......まあ、別に止めはしないけどさ......」

ベッドに入ると、さっそく燐が俺の匂いを嗅いできた。

しかもなんか、名言ぽく言ってるけど......。

「......も、もういいだろ?早く寝ろよ......?」

「......んん......はぁ......」

「って、もう寝たのかよ......」

真っ暗な中聞こえる、可愛い寝息。

それは、燐の寝息だった。

「......ふぅ......」

俺は、燐の頭を撫でると、燐は少し笑みを出した。

「かわいっ」

元々燐は可愛いが、パジャマ姿になるともっと可愛くなってしまう。

そうなってくると、俺でも少し興奮してしまう。

「......寝るか......」

俺は可愛い寝息を聞きながら、眠りに落ちていった。


月日は流れて、春。

「すごいな......」

春と言えばお花見である。

でも、俺はそんなのはしない。

「わぁぁ......」

外に出て、ただ単に桜を燐と一緒に見ているだけ。

というか、びっくりしたのは、異世界でも桜はあるんだなって事。

「きれいー」

「ああ、そうだな」

風で飛んでいく桜。

その光景は、なんとも美しい。

「そろそろ、ボスに向けてやらないとな......」

俺はその桜がふかれる様子を眺めながらつぶやいた。


春と言うのは、進学とかいろいろあると思う。

俺にとっては、この世界でいうとボスを倒す事である。

「それじゃあ、今年はボスを倒したいの?」

「そう、だから、手伝ってほしいと思って......」

「そっか、それなら手伝ってあげてもいいよ」

「ほんと?!」

「うん、だって燐のお兄さんだもん、死なれたら困るしー」

「あ、あはは......」

乾いた笑いをしながら、メイはその事情を受け入れてくれた。

今いるのは、前にも行ったミリエンの教会というのか建物と言うのか。

その建物内にいる、メイというミリエンの女神に会って、ボスを倒したいから手伝ってくれという事情を話した所。

メイは、見た目は小学生と変わらないロリのくせに、ほとんどの魔法を使えるという、一言でいえば最強の女神だ。

そうなってくると、燐が可哀想になってくる。

「それで、お兄さんはどうしたいと思ってるの?」

「あ、うん、一応、出来る限り魔法は持っておいて......って感じ?」

「あー、それだったら、そんなに魔法は持たなくていいって」

「え?でも......」

「私がいるでしょ?」

「あっ......」

そう言えば、メイも一緒にだったもんな。

メイはほとんどの魔法を持っているので、そんなに魔法を持たなくて済む。

「それで、いつ倒すの?」

「それなんだけど......いつやろうか迷っててさ」

「そうだよね。うーん......大体は、夏ごろにそのボスがでくることが多いから、その日にやった方がいいんじゃない?」

「なるほど......」

ボスも出てくる時間っていうのが、大体決まっているものなんだな。

「ありがと、分かったよ」

「こちらこそ」

そして俺は、そこでメイと別れた。


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