第31話 夢の中

オムたちが帰った後、博士は研究所にある一番奥のカプセルに入っていった。そして、博士はカプセルの中にある椅子に腰を掛けて、ジャックに話しかける。


スティーブ博士「ジャック、聴こえるか?お前に付けた右手の武器を外すことになったよ。少々、戦いづらくなると思うが右手をギミックに変えて通常の武器で戦ってもらうことになった。それでもお前は強い。トーナメントで優勝できるかもしれない。

エルサルバドルの、この小さな町を救えるのはお前だけなんだよ」


ジャック「しょうがねぇな。まぁオレはからいいけどな。博士の頼みだから聞いてやるよ」


スティーブ博士「あと、もう1つあるんだ。お前、酒場で女の子と交換条件を成立させただろ?あれは無効にしといてくれ。お前にはたくさん女がいるはずだ。ムリに傭兵の女を抱く必要はないだろ?」


ジャック「チッ!誰かが博士に言ったのか?

まぁいいや。オレの周りには若くて可愛い女がたくさんいる。体もこんなにイイ体をしているんだ。胸を揉んだら喜びやがる。たまらないぜ」


ジャックは両隣りょうどなりに座っている可愛い女の子の胸を揉んでいる。服がはだけた女の子が笑顔でジャックに寄り添っている。


スティーブ博士「おい、よせよ。私がにいる間は周りの女に手を出すんじゃないよ」(苦笑)


ジャック「ハハッ、嫉妬してるのか?博士。

オレぐらい強いといくらでも女のほうから寄って来るんだぜ。

おい、ミザリー!博士に酒を持って来てやれ。せっかくオレの街に博士が遊びに来たんだ。おもてなしをしろ。オレの命の恩人だぞ」


スティーブ博士「いやいや、私はこれから会議がある。酒は今度にしておくよ。ありがとう、ジャック。次のトーナメントも一緒にがんばろう」


ジャック「そうか、わかったよコブラ。バリア張って逃げてばかりいたら勝てないぜ。勝つためには撃たなきゃダメなんだ。いつでもオレの街に遊びに来てくれよ」


スティーブ博士「ああ、ありがとう。そうさせてもらうよ」


博士は、そういうと椅子から立ち上がり、ガラスケースの中に入ったホルマリン漬けの脳みそに手を振った。そして、カプセルの外へ出ると大きなため息をついた。


スティーブ博士「どちらも仮想空間だが疑似地球と仮想世界を脳が正常に識別できている。私が作ったもジャックは気に入ってくれているようだ。嬉しい限りだねぇ。飽きられたらまた新しいものを作るしかないな・・・・」


2035年に母国の精鋭部隊に八つ裂きにされたジャックは一命をとりとめたが瀕死の重傷だった。AIが搭載された医療用ロボットの判断では「脳だけ」の生存率が一番高かったために、それが選ばれた。


ジャックの脳みそには目に見えないほど細いチューブが無数につけられている。それはガラスケースの蓋のところから電気コードに変わり、電気コードから枝分かれしてコネクタになっていた。いくつものコネクタが電子機器と接続されていて、脳から発する微弱な電気信号と脳へ与える微弱な電気信号のやりとりでと錯覚しているのだった。


この研究所にある一番奥にあるカプセルは”ジャック専用”と書かれている。VR機器がなく、モーションキャプチャする体もない。


脳から発する微弱な電気信号と脳へ与える微弱な電気信号をスーパーコンピューターが媒介ばいかいして、体がなくても仮想世界で自由に動き回ることができる特別仕様のカプセルとなっていた。


絶え間ない貧困と飢えから人々を救い、さらに幸せな夢を与え、食事をする必要さえもない。ホルマリン漬けの脳みそとカプセルさえあれば人々はのだ。これがスティーブ博士が研究を進めてきた究極の最後に到達するべき目標だった。

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