第19話 お仕置きタイム

南側の中央にある高台付近で接戦を繰り広げたメロンとミントだったが俊敏しゅんびんな動きをする3人の忍者に翻弄ほんろうされてしまった。

煙玉を草鞋丸わらじまるに投げつけて敵の視界を奪ったすきに、お嬢様2人は逃走した。


サブマシンガンでやたらめったら木製の壁を撃ち抜いていたのは敵が隠れられないようにするためと逃走経路を作るためでもあった。忍者3人に囲まれたときにミントは逃走経路を作り、メロンは煙玉をタイミングを見計みはからって投げつけるつもりだったのだ。しかし、ギリギリまで前線で戦っていたのでメロンとミントのライフは残りわずかである。


しばらくすると、さっきまでの激戦がウソのように辺りは静かになった。


草鞋丸「影丸も剣丸もライフは半分以下になっているな。ここはムリをせず退くのもよかろう」


剣丸「誠にかたじけない。小娘2人に嗚呼ああも手こずるとは思いもしなかった」

影丸「しかし、あの娘たちも2回戦へ進んだ勝者なのだ。残りの娘たちも手強いであろう」


結局、剣丸と影丸は西陣側へ一旦戻ることになった。ライフは減っても生き残っていれば1人とカウントされる。競技終了時に相手の人数より多ければ、その時点で勝ちになるのだ。これも1つの戦略といえよう。

草鞋丸は2人の忍者と別れて、中央の高台の方へ壁と同化したまま進み始めた。


一方、この競技フィールドのど真ん中の高台にいるミルクは東陣のほうから遅れてやって来るレモンをみつけ、チャットで高台の上から話しかける。


ミルク「なかなか敵が現れないわね」

レモン「そうね、もっとガンガン衝突する刺激が欲しいわ」


大人の色気のある女が何を求めているのか察するものがあった。

意味深いみしんな発言をしたレモンの影から突然、忍丸が現れた。ミルクはぎょっとしてすぐにレモンにそれを伝える。


ミルク「レモン!あんたの影から忍者が出てきたよ!」

その言葉にレモンが素早く反応した。


レモンは前転して床に伏せながらショットガンで忍丸を撃つ。しかし、この素早いレモンのとっさの反応にも関わらず、忍丸は刀を振り回して弾を斬りながら軌道を変えてしまった。

散弾銃の弾は空中で分裂し、無数の小さな弾が散らばって敵めがけて飛んでいくのだが忍丸はそれをいとも容易たやすけてしまった。


レモン「コイツ、マジ!?」と思わず口走った。


信じられないことが目の前で起こったので驚きを隠せないでいた。レモンは素早い行動と判断力に自信があったのだ。それに相手は刀だから距離をとれば勝てると敵をあなどっていた。まさか撃った弾丸が刀で斬り捨てかわされるなど思いもよらなかった。このとき初めてレモンは忍者装備の厄介さに気づくことになった。


リーダーの危機を察したミルクが上からハンドガンで忍丸に発砲し、レモンの援護えんごをする。忍丸は後退しながら様子をうかがっているようだ。


レモンはあとずさりしながら高台の真下で壁に背をつけ、忍丸とにらみ合って膠着状態こうちゃくじょうたいとなっている。すると突然、壁から草鞋丸わらじまるが現れてそのままレモンを羽交はがめにしてしまうのだった。


いつの間に・・・・?さっきまで余裕だったレモンは突然 窮地に追い込まれ、まさに求めていたガンガン衝突する刺激を味わうハメになってしまっている。


草鞋丸「忍丸よ!勝機だ」と叫んだ。

忍丸はスケート靴のジェット噴射の機能を使って、目にもまらぬ速さで光の流曲線を描きながらレモンの腹部を斬りつけた。


レモン「うっ・・・・」


高台の上からミルクが草鞋丸に向けて発砲する。2発、3発と弾は当たっているが羽交い締めにしたままレモンを離さない。そこへ忍丸がじわじわと近づき戻ってきた。


レモンの目の前に立ち止まり、大上段に刀を構えた。

忍丸「覚悟!」と叫ぶ。


忍丸は頭上高く刀を構え、レモンの正面で刀を振り下ろそうとしたが、その瞬間、ズッパーン!と忍丸の頭を一発の弾が撃ち抜いた。

北側の高台を陣取っているクレープがライフルで狙撃したのだ。忍丸は一瞬ふらついがそのままレモンを斬りつける。


レモンのライフは瞬く間にライフが3分の1になってしまった。あと一回斬りつけられればライフはゼロになって消えてしまう。草鞋丸に羽交い締めにされているレモンの正面で、また忍丸が大上段に刀を構える。


追い詰められ残り僅かなライフになったレモンはテンプテーションの技を使った。すると至近距離にいる草鞋丸と忍丸の動きが遅くなり、レモンは羽交い締めにされた状態のままショットガンので草鞋丸の腹部をおもいっきり殴った。


草鞋丸が「くっ・・・」とうなり、羽交い締めにした腕が緩んだ。レモンは草鞋丸の腕をひねり関節をキメて、床に草鞋丸を押さえつけた。


そして、レモンは草鞋丸の耳元でそっとささやく。


レモン「今からお仕置きタイムよ♥」

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