第18話 忍術

巨大キノコと木製の壁でできた難解な迷路を進み、お嬢様チームのミルクが中央付近まで辿り着いた。辺りを見渡すと1人の忍者が壁をすり抜けていく姿が見えた。向こうはこっちの存在に気づいていない様子だ。


ミルクは仲間にそのことを伝えた。中央には高台がある。螺旋状らせんじょうのスロープがついた高台にインラインスケートのジェット噴射を使ってミルクは登った。


白のブラウスにミニスカートを履いたスタイル抜群で美人なお姉さんのミルクが中央の高台から辺りの様子を見ながらクレープに連絡を取る。


ミルク「クレープどこにいるの?私は中央の高台に上がったわよ」

クレープ「姉さん、そんなど真ん中に立って大丈夫?私は北側の高台に上がったわ」

ミルク「私がおとりになるから、あなたはそこから私に近づいてきた敵を狙撃してね」

クレープ「了解」


北側の高台に上がったクレープは羊の着ぐるみをかぶっている。高台と同じで全身が白いので高台の色に同化して遠くから見ると人がそこにいるようには見えなかった。


北側の壁沿かべぞいと南側の壁沿かべぞいをそれぞれ進んだ忍丸しのびまる草鞋丸わらじまるは東陣の壁沿かべぞいまで進み、そこで合流してレモンやクレープが破壊した巨大キノコの残骸ざんがいを目印にして西陣側へ移動を始めた。


ミントとメロンは南側の通路を西へ進んでいた。ミルクからの連絡を受けて忍者がオプションアイテムを使って「壁のすり抜け」をやっていることがわかったので自分たちが通ってきた通路にミントは1個のセンサー爆弾を設置した。


敵がまわり込んでくると厄介なので背後を取られない策である。


ミント「あれが南側の中央にある高台じゃない?」

メロン「そうね、高台ね。やっと中央まで来たわね」


南側中央の高台付近にミントたちが到着すると高台から黒い影が飛び立った。それはムササビマントで空を飛ぶ剣丸だった。


メロン「すでに敵が到着していたか!」


2人はすぐにサブマシンガンを構え、空中を飛んでいる剣丸に向けて弾丸だんがんの嵐を浴びせた。

いくつかの弾が剣丸に当たった。ムササビマントにも弾が当たってマントを貫通している。あと数発当てれば剣丸は落ちてくるだろう。ムササビマントの耐久性はそれほど高くない。


上を見上げている2人だったがミントのサブマシンガンに突然、鎖鎌くさりがまが絡みつく。

ガシャーン!鎖鎌くさりがまをミントの銃に絡ませたのは影丸かげまるだった。影丸が鎖を引っ張り、銃口がブレた。ミントが撃ち放った剣丸への弾は外れてしまった。

ミントは上空の剣丸に向けていた銃口をすかさず影丸のほうへ向けてサブマシンガンを撃ち放つ。銃に絡みついた鎖鎌が外れて影丸は宙返りをしながら壁をすり抜けて弾丸をかわした。


ミント「クソー!忍者どもめぇー・・・。味な真似をしやがって」


メロンが剣丸のムササビマントに弾を数発当てて剣丸は壁の向こう側に落ちた。メロンは攻撃の手を休めずドローン爆弾を飛ばして追撃をする。ドローン爆弾は剣丸の上空まで飛んでいったが手裏剣がドローンのボディに当たって空中で爆発した。

ドーン!大きな爆発音と共に煙が上がっている。


ミント「そこだ!」

ミントはドローン爆弾が爆発した位置に向けてサブマシンガンを撃ち始めた。


バババババッ!木製の壁が飛び散りながら散乱していく。

視界をさえぎっていた壁が削り取られて徐々に見渡しが良くなり、視野が広がった。

壁の陰に隠れていた剣丸と影丸に何発か弾が当たり、忍者たちは慌てて逃げ出すのだった。女の勘は恐ろしい・・・・。


ミントとメロンは背中合わせになり死角をなくして忍者の反撃を待った。

コロンコロンと足元に煙玉が転がってきて、たちまち2人の視界は遮られ前が見えなくなってしまう。


ミント「しまった!煙玉だ」


見えない位置から手裏剣が飛んでくる。ミントの足や腹部に手裏剣がヒットする。メロンには鎖鎌がヒットした。


2人はサブマシンガンで応戦するが弾は剣丸にも影丸にも当たらない。煙が収まると背中合わせの2人をはさみ撃ちにする形で剣丸と影丸が立ちはだかっている。


ミントとメロンが息を合わせて同時に剣丸と影丸を撃ちはじめた。しかし、どちらも本物ではなくホログラフィーだった。弾丸はホログラフィーの剣丸と影丸をすり抜けて飛んでいってしまった。


壊れた壁の小さな陰から剣丸が手裏剣を飛ばしてきた。それがメロンの背中や肩にヒットする。ミントは手裏剣が飛んできた方向へサブマシンガンを撃ち放つ。

忍者2人もお嬢様2人もライフは半分以下になり接戦である。


またミントとメロンは背中合わせになり銃を東西に向けて構えていた。すると突然、誰もいないはずの壁側からメロンは草鞋丸わらじまるに斬りつけられた。


一瞬、何が起きたのか分からなかったが草鞋丸のオプションアイテムは「壁と同化」だったようだ。メロンが反撃してサブマシンガンをぶっ放した。それと同時に煙玉を草鞋丸のほうへ投げつけて、ミントの腕を引っ張って逃走した。


忍者チームの戦い方は現れては消え、消えては現れるまさに忍術のようだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る