第2話 ショップ

クラウドコンピューターを運営する大手企業とゲーム会社が共同開発した仮想世界には実に様々なサービスが提供されていた。


仮想世界には娯楽施設があり、映画館やカジノ、ダンスホールまである。

習い事は料理教室や英会話、自己啓発の講習会まで幅広く用意されていて、仮想世界では自分がやりたいことが自由に選択できて、スキルアップするために多くの人々に利用されていた。仮想世界の多くのサービスは無料で提供されている。


先進国はAIとロボットに労働を任せているので国民は何もしなくても収入が与えられる。資本主義、労働者の確保は昔の話である。


国がベーシックインカム制度を導入し、毎月、国民に活動資金を給付しているのだ。

その活動資金を使って市や町が傭兵を雇ってVirtual Stadiumの競技に参加させて戦闘に勝ち物資を得ていた。

AI(人工知能)が自動倉庫で物資を管理し保管して、食糧の調達はロボットが行っている。


2040年以降は、お金よりも水や食糧に価値が移行していた。

第三次世界大戦によって大気汚染が進み、水と食糧が貴重な資源に変わったのである。

金融システムが構築され政府の意向で民間銀行がお金を調整するような時代ではなくなった。金本位制度が導入され、デジタル通貨はAIが管理している。


インフレもデフレもない社会になり景気の波がなくなり現実の世界は灰色の景色が広がって色褪せている。

人々が熱狂するのは仮想世界の競技場で繰り広げられる戦闘ゲームである。


競技場の周りにはたくさんのショップがあり、戦闘で使えるアイテムは傭兵たちが好みで買っている。

メイン武器もサブ武器も強力なものになればなるほど値段は高い。

スペシャルウエポンは3つの選択肢があり、競技では1人につき1つのスペシャルウエポンが装備できる。

スペシャルウエポンはゲーム中で使えるのは3回までだ。

それ以上、スペシャルウエポンを使いたい場合は競技場の建物内にある木箱や机、絵画の額縁の中に回復アイテムがあるのでそれを探し出して取ることができればスペシャルウエポンはまた3回使うことができる。


競技場のフィールドはランダムに選ばれ、傭兵たちも観客もどこが競技場所に選ばれるのかを知らない。

ゲームがスタートする直前にフィールドはAIによって決定される。仮想世界で用意されているフィールドは数千種類あるというウワサである。


傭兵たちがショップで買うのは武器や防具と競技用にデザインされたコスプレである。プレイヤーの中にはコスプレにこだわる者がいる。


ノーマルの戦闘服は迷彩服で色はランダムに選ばれるがショップで買った競技用の服はそのまま固定され、コスプレ衣装のままゲームに参加できる。


チーム制なのでリーダーだけを目立たせるためにコスプレさせて他のプレイヤーは迷彩服というパターンが多い。


5人がコスプレを揃えたり、バラバラのコスプレを選ぶチームもあるが戦闘の強さには何も反映されない。ただの好みである。


ショップには、仮想世界の運営元がやっているショップと運営元に販売を許可されたショップがある。


競技場の人気が高まったときにショップの数も一気に増えた。そのため一部の規制が緩和されてメイン武器とサブ武器だけではなくオプションのアイテムを販売するショップが登場した。


戦闘はよりいっそう激しさを増し、戦いは混沌としたものとなった。

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