第3話 傭兵たちが集まる酒場
傭兵たちは競技に参加しないときはよく酒場に集まっている。
酒場のモニターで競技者の戦いぶりを観戦しながら次の戦いに向けた戦略をチームで話し合ったり、誰かが仕入れた新しい情報をいち早く知るために酒場でたむろしている。
傭兵として戦うプレイヤーたちは町や村の住人たちを代表する貴重な代役なので
重要なイベントを勝ち上がっていけば上のランクの競技に参加できるようになり、上位ランクの競技で勝てば物資の量も今までよりたくさんもらえるようになるのだった。
AI(人工知能)の統計によりチームのレベルがグラフ化され、スポンサーの数が増えたり競技場の運営側からの報酬が高くなっていくシステムになっている。
トップクラスの傭兵になれば国や大都市がスポンサーになり、それまでは考えられなかった物資の量と報酬がもらえるようになる。
プレイヤーたちは現実の世界では、競技者専用の施設に住んでいてプレイヤーの衣食住のすべてがそこで満たされていた。
競技者専用の施設は通称「カプセル」と呼ばれている。
一人ひとりが個室に入り、部屋の中にある丸い球体でプレイするので「カプセル」と呼ばれるようになった。
個室は2LDKの広さがありマンションの一室のようになっている。
部屋の中にある液晶タブレットで好きな食べ物や飲み物を選んでボタンを押せば数分後には部屋の片隅にある四角い差し入れ口のポストが開いて、注文した食べ物と飲み物がトレーに載って出てくる。
VRゴーグルの視界はモニター画面だけのモードと半透明のモードに切り替えることが可能なため、現実の世界と仮想世界を重ねて見ることができるようになっていた。
VRゴーグルを外さずに生活するプレイヤーは多い。それは仮想世界で生きることを決めた人々が傭兵になっているので当たり前かもしれないが・・・・。
仮想世界の酒場で酒を飲みながら、リアルでも酒を飲む。それはよくあることだった。
プレイヤーたちは仮想世界で受けた衝撃や感触をそのまま体験できるVRスーツを着ている。
このVRスーツには体感センサーが1000個内蔵されているため、あらゆる感触が現実と変わらないほどリアルに再現されていた。
モノ好きなプレイヤーは体感スーツを着てAVを見ているほうがリアルでセックスするよりも興奮するし気持ちいいと言っている。
好きなアイドルや女優、歌手、グラビアのお気に入りの娘と仮想世界でイチャイチャするほうが現実よりも楽しいらしい。
VRスーツの動きはカプセルによってモーションキャプチャーされているため、プレイヤーの動きが忠実に仮想世界で再現されている。
体感センサーは競技中に受けたダメージをそのままプレイヤーの体に振動で伝える。
痛みの振動だけではなく、温かさや冷たさも同時に伝えることができるのだ。
体感度はダイヤルを回せば調整できるが刺激を強め過ぎるのは危険である。
AVを見るときに体感度のダイヤルをマックスまで上げていたプレイヤーが元に戻すのを忘れて競技に参加しガトリングガンで撃ち抜かれてサブ武器の手りゅう弾を喰らったときに
仮想世界を現実のように再現するためのリアルの追求は、みんなの願いでもあり作っているメーカー側の過剰なサービスでもあった。
仮想世界の酒場で傭兵たちが酒を飲む姿はプレイヤーがカプセルの中で酒を飲んでいる姿と一挙一動変わりなく同じである。
プレイヤーたちは仮想世界に溶け込んでいるほうが楽しく仲間がいっぱいいるから現実を忘れられていいという。
そんな過去と現実を捨てた傭兵たちが集まる酒場は今日もたくさんのプレイヤーが集まって
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