第4話 カプセル

プレイヤーたちが住む施設には各部屋にカプセルがあり、その中に入ってプレイヤーは仮想世界の競技場で戦う。


カプセルのドアを開けると照明が点灯し、カプセルの中に入ると中央には天井から四角い柱が1mほど突き出している。柱には太くて長いカーボンチューブがぶら下がっているのだ。その先端には輪っかの形をした装置がついている。


カプセルの中央にある柱はVRピラーと呼ばれる装置である。プレイヤーはそのカーボンチューブの先端にある輪っかを腰に装着してプレイをする。

VRピラーの輪っかをロックするとVRピラーがカーボンチューブを巻き上げてプレイヤーの体を少しだけ自動で持ち上げる。


プレイヤーの歩行は軽くなり、カプセルの中央で歩く動作をするだけで仮想世界では徒歩が可能となっている。


ジャンプすればVRピラーがカーボンチューブを巻き上げてプレイヤーを一瞬だけ持ち上げて仮想世界でのジャンプ力を強化する。


プレイヤーの激しい動作の負担を軽減し、仮想世界のアバターに動作を反映するために作られたVRピラーは競技者の間で人気が高く、カプセルに入って競技しているプレイヤーたちは勝率が上がってハイスコアとなっている。


他にも様々なVR装置があり、企業が開発しているものや個人が作ったものまで多種多様である。


カプセルとVRピラーの開発には莫大な費用が投入されている。

カプセルはプレイヤーをトラッキングして居場所をメインコンピューターに伝え、アクセスしているサイトを調べ、IDに不正がないことを証明する。


外部と内部の両方からハッキングや不正を防ぎ、高いセキュリティを保っている。


トラッキングとは、特定のユーザーがどこからアクセスして、どんなサイトにログインしたり、何を閲覧しているのかを知る機能である。

国を偽ったり、住んでいる地域をごまかせないようにするためにカプセルにはIDが振り分けられているのだ。


ハッキングや不正IDの取得を物理的に防ぐためにカプセルは存在する。さらにプレイヤーの動作を最大限に引き出すためにVRピラーが開発された。


カプセル内部のプレイヤーの動きはモーションキャプチャーされているので忠実に仮想世界のアバターに動きが反映されている。そして、カプセル内部にはスピーカーがいくつも取り付けられているため仮想世界で聞こえる音の方向がリアルに伝わり、臨場感を演出している。


現実とほぼ同じ感覚で足音だけで敵がどの方向にいるのかがわかり、自分とどれぐらいの距離が離れているのかも素早く察知できるのだ。


プレイヤー同士の会話はVRゴーグルのヘッドフォンスピーカーとマイクが使用されている。


仮想世界をよりリアルに体感するために生まれたVR機器とカプセルである。

仮想世界の競技場で戦うプレイヤーにとって必須アイテムとなっている。カプセルを使っていないプレイヤーもいるが弱くて話にならない。


カプセルにはIDが振り分けられているので仮想世界にアクセスすれば自動でログインできる特別仕様となっている。事前に登録は必要だが手動でログインの設定をするのは一度だけである。


一般家庭では不正ログインやパスワードのハッキングを警戒しなければならないがカプセルは常にインターネットに接続状態となっていてトラッキングで位置情報がわかり、登録しているユーザー以外を受け付けない。

カプセル自体にIDがあるためIDをごまかすことも不可能となっている。


セキュリティの高さからもプレイヤーに好まれている。


現実の世界でプレイしている姿を他の人に見られたくないというユーザーも多く、球体の形をしたカプセルはプライバシーを守る役割もになっている。


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