第36話 ジャック・ブレーン
警察「抵抗はやめろ!家に戻れ!」
暴徒A「家の中がめちゃくちゃなんだよ!戻れねーよ!」
軍人「このまま強制収容するぞ!」
暴徒B「やれるもんならやってみろ!」
警察・軍人 VS 暴徒と化した市民の対立によって人の群れができていた。大きな地震のあと、停電が起きて強盗が家に押し入ったり、家の中の家具や食器がめちゃくちゃに壊れて家を飛び出して来たり、家が崩壊して火災が起きたりと住民たちの被害は大きかった。
地震が滅多に起きない地域なので町全体がパニックを起こしていた。
その人の群れに戦闘用アンドロイドに搭載されたジャックが近づいていく。
警察と軍人、暴徒と化した市民が胸ぐらをつかみ合っているところをジャックは右手を一振りして弾き飛ばした。
今まで怒号が飛び交っていた声は、やがて悲鳴に変わった。
警察や軍人がアンドロイドに向けて銃を撃ち始めたがまったく効いていない。ジャックは右手のガトリングガンで応戦した。そして、警察も軍人も市民も関係なくミサイル弾を撃ち放ち、あたりにいた人々を見境なく
ジャック「これは現実なのか?それとも仮想現実なのか?」
2031年、ジャックは世話になった博士のためにVirtual Stadiumの競技に参加して、物資もたくさん得ていた。しかし、競技に参加していたのは初期のVirtual Stadiumでそこから記憶が飛んでいる。ジャックの記憶では2035年までしかないのだ。
確か2035年・・・・母国から精鋭部隊がやってきて撃ち合いになったはずだ。そして、オレの右手や右目はあいつらに奪われた。
ほんとに瀕死の重傷で命からがらだったのを覚えている。しかし、そこから記憶が飛んで次にベッドで目を覚ませたときには右目と右手はなかったものの、オレは自分の街で楽しく暮らすようになっていた。
そのときのことは断片的な記憶しかない・・・。
自分の街で楽しく暮らしていたはずなのに次に博士に会ったときはずいぶん博士が老けているようだった。数年、博士に会っていなかったような雰囲気だったのを覚えている。
もしかしたら、あのときには既にオレは脳だけの存在だったのかもしれない・・・。
ジャックは自分の記憶を辿りながら、エルサルバドルの震災直後の荒れた町の中を
ジャックが歩いていった後には辺り一面に
ジャックを搭載したアンドロイドに通信が入る。
博士「聴こえるか?ジャック。私だ。スティーブだ」
ジャック「おお、博士。どこにいるんだ? 今、オレはどういう状況なんだ?」
博士「町で停電が起きたんだ。その後、カプセルに搭載されているAIがロボットアームを使ってお前をアンドロイドに搭載したのだ。電気が復旧するまではアンドロイドに入っていてもいいが研究所へ戻るべきだ。事態が深刻になれば私もお前もAI政府から処罰を受けることになる」
ジャック「もう遅いぜ、博士。警察も軍人も市民も殺しちまったよ」
博士「なにーーー!?」
そこで通信は途切れた。ジャックのほうが通信を遮断したのだ。博士の連絡は既に手遅れだった。
研究所の片隅で博士は壁に持たれたまま腰をついた。まるで電池の切れた人形のようだった。今までの研究の成果も生きた成功のサンプル「ジャック・ブレーン」もすべてが台無しになってしまったのだ。
この地球に張り巡らされた通信網と防犯カメラによって、エルサルバドルで暴走しているアメリカ軍の遠隔型・戦闘アンドロイドはAI政府によって発見された。
AI政府による判断は、エルサルバドルで暴走する戦闘アンドロイドの危険度は80%であり、「
その10分後、世界政府が持つ大型の飛空艇が荒野の何もないところから静かに飛び立った。この大型の飛空艇には遠隔型・戦闘アンドロイドが10体搭載されている。
この遠隔型・戦闘アンドロイドは世界政府に所属するAIたちが1体ずつ操作しているのだ。
戦闘シュミレーション、状況判断、戦略、攻撃パターンはVirtual Stadiumの傭兵たちの戦闘から学習するプログラムを組んでいる。
世界政府がすべてを牛耳って制圧するためにVirtual Stadiumは存在していたのだ。
世界政府は実態がなく、ほとんどがAI任せである。しかし、一部は人間がその機関に所属しているというウワサである。
その一部の人間が世界を支配しようとしているのだった。
正義も悪もはっきりとした色分けができず、この世界は正義も悪も灰色に染まっていた。
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