第22話 裏切りの軍人

2030年に終戦を迎えた第三次世界大戦だったがあれからまだ12年ほどしか経っていない。片目のジャックは終戦のギリギリまで戦地で戦っている軍人だった。


精鋭部隊に所属していたジャックは過酷な最前線で戦いの日々を送っていたのだ。戦場では敵を皆殺しにし、現地にいる女は見境なくレイプしていた。ときにはそれが少女だったということもあったが気にすることはなかった。


戦場の最前線にいる軍人たちに”明日”はなく、その日を生き残るだけで精一杯であった。一緒に訓練をした仲間が死んでいき、上官が任務遂行中に撃たれて死亡しジャックが指揮を取ることもあった。戦争にはモラルなど存在しない。捕虜になった仲間は椅子に縛り付けられて拷問を受けた。毎日受ける拷問によって薬漬けにされて脳みそを破壊されいく。敵も味方も同じで、心や体がボロボロになっていった。


勝った国が正義であり、勝った国が歴史を塗り替える。ただそれだけなのだ。しかし、あまりにもジャックの素行が悪いのでいつしか精鋭部隊でも邪魔な存在として扱われるようになっていた。優秀でまともな人間も過酷な戦場における戦いの日々の中で精神をすり減らし、耐えられないほどの恐怖と痛みを経験して、おかしくなってしまうのだ。


もっともジャックの場合は、捕虜として捕まえた敵兵に快楽のドラッグを与えて相手の国の内部情報を吐露とろさせて真実を知るうちにことに気づいてしまったのだ。そして、わざと狂ったフリをして仲間の目をあざむき通した。


終戦を迎える2日前に敵地に残っている精鋭部隊があり、その中にジャックはいた。辺りに敵の姿はなく、精鋭部隊で生き残ったのは、たったの5人である。

空挺降下エアボーンで精鋭部隊はそれぞれ時間や攻める地域を分散して敵地を占領していたのだ。1つの地域に30名の精鋭部隊が送り込まれ、敵地を侵略していったが、共産主義の色が濃い国は強かった。

旧ソビエト連邦が息をかけて発展させた共産主義国家の敵兵は死を恐れずに立ち向かってきた。いくつかの他国のテクノロジーを駆使して、強い武器を作り上げていたようだ。ジャックはよりも強い武器をほっした。快楽のドラッグを与えた敵兵を解放するという条件と共に自分たちの国の内部情報を敵国に与え、寝返ることにした。


ジャックが寝返った敵国は戦争では敗戦して辺りは焼け野原になり何もなかったがそれはジャックにとって都合がよかった。誰もオレのことを知らないし母国に帰る必要がない。ここがオレの街になる。


仲間だった精鋭部隊の4人を撃ち殺し、敵国が持っているテクノロジーを享受きょうじゅした。ジャックは敵国の博士をたらし込み、妙なことを口走ったという。


片目のジャック「新しい時代が来る。オレはその時代に備えるつもりだ」と。

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