第21話 片目のジャック
酒場を
競技が終了して広場へ転送された両チームは酒場へやって来ると傭兵たちがさっきの戦闘を
競技中に相手を罵ったり挑発することはあるがそれは戦略の1つであり、戦闘以外では傭兵たちは陽気で他のチームとも仲良くやっている。ここは仮想世界だから誰も死なないし傷つかない。
ただ忍者チームのように発展途上国の運命がかかっている場合は陽気ではいられなかったが彼らの挑戦はまだ始まったばかりである。今回のトーナメントはダメだったが通常の競技であれば、忍者チームの戦闘力であればそれなりに食べていけるだろう。まだまだチャンスはこれからもある。
お嬢様チームは勝利したことを喜び、バーカウンターでカクテルを頼んでテーブル席に座ると傭兵たちが娘たちを口説こうとして周りに集まってきている。とくに肩を露出したワンピース姿のレモンと白のブラウスにミニスカートを履いたミルクは人気があった。
色気がたっぷりある上に男に
娘たちのテーブル席の周りに集まった傭兵たちを右手を一振りして弾き飛ばし、酒場の
ポテト「片目のジャックだ!」と大きな声をあげた。その瞬間、またミールに頭をコツかれるポテトだった。ミールは人差し指を口元に立てて「シーッ!黙れ」のポーズを取っている。ポテトが言った言葉を受けて、周りの傭兵たちがざわつき始めた。
傭兵A「片目のジャックだって・・・。アイツがそうなのか?」
傭兵B「いやぁウワサでは全身がロボットだって話だぜ。人違いじゃねぇのか?」
傭兵C「しかし、右目に眼帯をつけているからそうかもしれん」
傭兵D「確かにそうだ。片目のジャックだ。ウワサでは死んだって話だったがな」
ミルクが片目のジャックに言った。
ミルク「何か用かしら?私達は品のない野蛮なヤツは嫌いよ」
片目のジャックはニヤニヤしている。
片目のジャック「威勢がいいじゃないか、お嬢ちゃん。このトーナメントにはオレも参加している。次の試合でオレのチームが勝てば、お前らはオレのチームと戦うことになる。もしお前がオレに負けたらバーチャルセックスに付き合え。1回、セックスすれば現実の世界でもお前はオレに抱かれたいと思うようになるはずだぜ、へへ」
片目のジャックは不敵に笑っている。
レモン「気持ち悪い男ねぇ。安心しな。あんたが私達に勝てることは一生ないわ」
片目のジャック「そうか、楽しみにしてるぜ。お前らが負けたときはオレのチーム5人とお前らのチーム5人がセックスする。オレたちが負けたときは欲しいものをくれてやる。交換条件だ」
レモン「ええ、いいわ。私達が勝ったときはこの競技場から消えな」
クレープがミルクに小声で話しかける。
クレープ「姉さん、大丈夫?こいつ強そうだけど・・・」
クレープは野蛮な奴にムリヤリ抱かれる姿を想像して恐怖で怯えている。そんなクレープの肩をそっと抱きしめてミルクは「大丈夫だよ。安心しなさい。あなたには指一本触れさせないわ」となだめた。
片目のジャックとレモンはバーカウンターでお酒を提供している女店員(AI)のところにいって左手を差し出した。
AIの女店員が尋ねる。
女店員「交換条件はなんですか?登録した条件は変更できません。交換条件が実行されなかった場合は違約金の支払い命令、さらには違反者としてマザー(メインコンピューター)に登録されることになります。違反者は競技に参加できなくなりますがよろしいですね?」
片目のジャックとレモンが条件に同意した。交換条件が成立したため左手に紋章が浮かび上がりオレンジ色の光を放っている。
片目のジャックは満足げな表情をしながら「せいぜいがんばってオレたちに勝ってみろ!」と言って去っていった。
レモンはテーブル席に戻り、ふぅっとため息をついてチームメイトの娘たちをなだめる。
レモン「大丈夫よ、あんたたち。これからもああいう男は現れるわ。戦略をしっかり練って戦えばどんな相手だろうと勝てるから」
レモンとミルクが主戦場で戦い、いつも娘たちを守ってきた。お嬢様チームの絆は深い。レモンの言葉に納得して娘たちもやる気を出した。
右目に眼帯をつけた片目のジャックは右手が物々しいロケットランチャーのような形をしている。右手自体にガトリングガンがついていてガトリングガンの中心部は本当に追跡ミサイルが飛び出すように改造されている。さらにそのロケットランチャーの形をした筒状の後部には特大のニードルが突き出している。
片目のジャックは闇改造された武器を右手に埋め込んでいるのだ。正規品ではないのでどんな特性があるのか周りで知るものはいなかった。
次の試合は片目のジャックのチームである。次の戦いに勝てばお嬢様チームとの対決が実現されることになる。
酒場の傭兵たちは眉をひそめながら片目のジャックの戦いぶりを見ることになった。
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