第20話 予想外
草鞋丸を床に押さえつけたレモンの後ろから忍丸がゆっくりと動き刀を構えようとする。しかし、北側の高台からクレープが忍丸をライフルで撃ち抜く。忍者2人はテンプテーションの技にかかっていながらもゆっくりと動きながら戦おうと
忍丸「くっ!なんとしても勝たねばならぬ。オレたちを信じて雇ってくれた故郷のために」
草鞋丸も忍丸も
2040年、発展途上国と先進国の垣根はなくなりテクノロジーは共有されたのだが先進国だった国々のほうが早く次の時代への発展を遂げて、仮想世界を作り上げた
発展途上国だった国々は、それに気づかず資本主義経済で世界を動かしている先進国のあとを追いかけているつもりだったが、経済活動が
今まで作っていたものがどんどん売れなくなり、資金力がなく食糧を買うお金さえも用意できなくなってしまったのだ。多くの発展途上国の国民が飢えで死んでいった。一時的に暴動は起きたが第三次世界大戦後に世界を平定した世界政府が秩序を守るという観点から発展途上国へ支援金を送り、仮想世界への
忍者チームのメンバーはそんな貧しい国がいくつか協力してできた”決死隊”である。1つの国に1つの平屋の施設と1つのカプセルしか存在しない。仮想世界の死はそのまま現実世界の死へ直結しているのだ。自分たちの命だけではなく”彼ら”が背負っているのは国全体の運命なのである。
ここは仮想世界の戦場なのだ。2030年に世界大戦は終わったが10年に渡る長き戦いの末に人々の
戦争で荒廃した都市や街では金品の略奪のために強盗殺人が
仮想世界の中に”戦場を作る”それをより現実に近いものにするために勝者に対して物資を供給するという選択をAI(人工知能)が選んだ。
世界中のテクノロジーを集めて作ったAIを世界政府が所有している。
仮想世界の競技場で戦闘を行い、勝てば物資が手に入る。戦闘シュミレーションゲームから物資をかけた戦いに変貌を遂げて、そのルールが世界を変えることになった。
2030年から2040年の間にそれは世界に浸透して、やがて世界中の人々が熱狂する競技へと変わっていった。
世界の人口が約30億人になり、多くの人々が仮想世界のVirtual Stadiumに夢中になってから先進国も発展途上国も犯罪は激減して平和が訪れたのである。
やがてAIがロボットを作り、工場を作り、フルオートメーションで必要なものが生産されるようになったのだ。
資本主義経済で大量生産が過剰供給を引き起こし、自然破壊を誘発し、秩序は乱れ、世界恐慌から第三次世界大戦へ発展したので、世界政府とAIが経済活動をコントロールして資本主義経済を抑制することになった。
世界中の人々が仮想世界にアクセスするようになってから、現実世界は自然破壊が止まり、あらゆる生物が繁栄し自然界の再生がはじまったのである。
私利私欲にまみれた人間の判断では辿り着けなかった”答え”をAIは導き出したのだ。
忍者チームもお嬢様チームも1回戦の勝利者なので受け取った物資はいつもの3倍である。さらにこの2回戦に勝てば物資はいつもの6倍が手に入ることになっている。
忍丸は思った、この戦いに勝てばたくさんの人の命を飢えから救えると。しかし、傭兵となったプレイヤーに情け容赦はなかった。
レモンが草鞋丸の背中にショットガンを押し当てて引き金を引くと草鞋丸はライフがゼロになって消えた。
草鞋丸を押さえつけていた体勢だったのでオフショルダーのニットのワンピースを着ていたレモンのパンティは忍丸に丸見えになっていた。かがんだ体勢では胸元の谷間も丸見えである。
レモンは立ち上がりながら「どこ見てるの?このスケベ」と忍丸を罵る。
テンプテーションの技はまだ解けていない。
気づけば高台からミルクが降りて来ていた。ミルクはハンドガンで忍丸を1発ずつ確実に撃ち抜いていく。
一方、ミントとメロンは東陣のスタート地点付近で嵐丸と出くわしていた。壁をすり抜けて登場した嵐丸は2人の目の前で立ち止まり鎖鎌を構えた。しかし、ミントとメロンのライフが半分以下になっていることを知らなかった嵐丸は2人に接近しすぎていたのである。
テンプテーションの技によってあっけなく嵐丸はやられてしまった。メロンがテンプテーションの技を使い、ミントは追跡ミサイルで嵐丸を瞬殺した。
この2人のお嬢様のいつものコンビネーションは完璧である。
酒場の傭兵たちの予想が外れて、まさかのお嬢様チームの勝利となった。
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