第10話 統制のとれた小隊
ポテトがやられてしまったのがVR画面に表示している仲間の残数ですぐにわかった。1人減っている。あと最後のポテトの断末魔の叫びでやられているのがわかりやすかった。
ミール「まったくだらしない男ね!私が
ミールは中央の建物の窓枠に向かってインラインスケートで走り出した。壁にピッタリくっつくと中の様子を恐る恐る覗き込む。中は静まりかえっていた。
相手のチームが5人とも中央の建物内部にいるのはわかるが奇妙なほど静かである。
とりあえず手りゅう弾を投げ入れるミール。しかし、何の反応もない。
シュガー「ミール、あんまり無茶しないでね。相手チームはこっちのメンバーを1人倒して戦況は有利になっている。このまま時間を稼いで終わりにしても勝てるから待ち伏せするつもりなんだよ。
敵は中央の建物の中に入って来るのを待っている。作戦を練ろう」
ミール「オム、あんたどこに居るのよ?」
オム「へっ?呼んだ?」
ミール「あんた単独行動すぎるでしょ。シュガーの作戦に協力しなさいよ」
オム「お・・・おう」
シュガー「窓枠の外から中へ向いてマックに狙撃してもらおう。きっと奴らは中央の建物の中から出て来ない。外から中へ狙撃するスナイパーと中の敵を惑わせる
シュガーが詳細を丁寧に説明して、マックは中央の建物の窓枠の外側から中へ向けてライフルを構えてスタンバイした。
ミールはレーザーポインターが付いたサイレンサーの銃をメイン武器に選んでいる。
サブ武器は手りゅう弾でスペシャルウエポンは追跡ミサイルである。
シュガーが中央の建物の中に通じた土管に入った。建物内に侵入すると相手チームのセラの後ろ姿が見える。
ゆっくりとセラに近づいて土管の陰に隠れながらメイン武器のボルトアクションピストルでセラに照準を定める。
シュガー「よし!始めよう」
引き金を引くとパーンっと音が鳴り響き銃弾はセラを撃ち抜いた。2発、3発と命中させながら逃げるセラを追いかける。
深追いは禁物だ。セラが土管の下をくぐり抜けていったがきっと土管の下をくぐり抜けた向こう側には相手チームのメンバーが待機しているはずだ。
ならばゲームに勝つためにはイチかバチかやるしかない。
シュガーはインラインスケートのダッシュボタンを押した。全速力で滑走し、目の前にあった土管の上を滑っていく。そして、どんどん上の土管に駆け上がっていった。
天井付近にある土管の中へ入って進み、セラが行った先の様子を見ることにした。
土管の出口から覗いてみると相手チーム4人がそれぞれのポジションで土管に座って待機しているのが見えた。
なるほど、1人が
銃やスペシャルウエポンで大ダメージを与え、相手に反撃する機会を与えない。リーダーのモルトによって統制のとれた小隊が結成され競技施設で戦術が展開されているのがわかった。
モルトの戦略をシュガーは仲間に伝えた。左腕にある操作ボタンを押して、マップの現在地に印をつけた。
相手の位置と戦略が分かれば戦況が変わる。今、流れは変わった。
シュガーが天井付近の土管に潜んで待機し、真下に見える土管の上に座っている敵を確認しながらオムたちが来るのを待つ。
セラは追いかけて来ないシュガーに対して「おもしろくないヤツ!」と
セラ「誰か
仲良しのミゼラが言う「私が替わるわ。ここで待機してるの飽きちゃった」
モルト「これは戦術なんだ。もっとマジメに考えろ」
説教くさい言葉に2人の女子は肩を
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