第17話 迷路

お嬢様チームと忍者チームの戦闘が始まった。


今回のフィールドは身の丈を超えるほどの大きなキノコが無数に生えた競技施設である。木製の壁や床から人よりも背丈がある巨大キノコが生えている。


競技がスタートすると両陣の傭兵たちは一斉に飛び出した。


お嬢様チームのレモンが左腕をダブルクリックすると視界の中にマップが映し出され、左側に選択できる項目が一覧表示された。

『敵チームの武器』

『敵の数』

『仲間の数』

『ライフゲージ』

『仲間の武器の使用回数』

『ジャイロコンパス』

『暗視スコープ』

『オプションアイテム』

『設定』


これはプレイヤーたちが使っているVRゴーグルの機能である。

景色を投影している画面に透過性のあるレイヤーを重ねてマップ画面を表示させているのだ。プレイヤーが動いて景色が変わってもマップ画面はそのままプレイヤーの視界に表示され、プレイヤーが自分の意思で画面を消さない限りマップを見ながら戦闘ができるようになっている。


お嬢様チームのリーダーを務めるレモンが忍者チームの武器構成を確認して戦略を考える。それと時を同じくして忍者チームのリーダー忍丸がお嬢様チームの武器構成を確認して作戦パターン『風』『林』『火』『山』の4種類のパターンの中から『風』を選んだことを仲間に伝えた。


巨大なキノコと木製の壁に囲まれた迷路のようなフィールドはマップを見ながら進まなければ来た道がわからなくなるほど複雑だった。


傭兵たちは左腕をダブルクリックして『ジャイロコンパス』のボタンをクリックした。ジャイロ機能を使い、空間にジャイロコンパスを浮かび上がらせた。


これもVRゴーグルの機能である。自分が見ている方角が分かるようにプレイヤーが進む方向にNorthSouthEast西Westの方角の頭文字を浮かび上がらせ、空中に浮かんだ矢印がその方角の頭文字を指し示している。

プレイヤーを戦いやすくさせるための補助機能である。


お嬢様チームがお互いに連絡を取り合いながら、この迷路のようなフィールドを前進していく。レモンは来た道を見失わないようにするために巨大キノコをショットガンで撃って破壊しながら進んだ。

メイン武器にハンドガンを装備したミルクも同じように巨大キノコを撃って破壊していく。


ミントとメロンは別ルートを進んで行き止まりに辿り着いた。

ミント「あら、行き止まりね。どうする?メロンちゃん」ミントは仲良しのメロンに尋ねた。

メロン「そうね、こういうときは・・・・」


ガチャ!メロンがサブマシンガンを構えた。行き止まりの木製の壁に向かって弾丸を撃ち放つ。

バババババッ!蜂の巣のように木製の壁に穴がき、壁の向こう側の景色が見える。そして、サブマシンガンので壁を思いっきり叩くと壁が倒れて障害物がなくなり向こう側の通路に通じる道ができた。


ミント「さすがメロンちゃん、そういう大胆なところ好きよ♪」

メロン「さぁ姉さんたちよりも先に忍者を討伐しましょ♪」


一方、忍者チームのほうは1人ずつに分かれて行動している。


北側の壁沿かべぞいを進む忍丸しのびまると南側の壁沿かべぞいを進む草鞋丸わらじまるが行き止まりの壁を刀で一刀両断しながら道を開拓してゆく。


中央辺りで三方向に分かれて進んでいるのは剣丸つるぎまる影丸かげまる嵐丸あらしまるである。


それぞれ行き止まりの壁にぶつかるとオプションアイテムの「壁のすり抜け」を使って何事もなかったかのように壁をすり抜けて進んでゆく。


まだ両チームは迷路のようなフィールドにはばまれて敵にかち合わせていなかった。

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