口封じ―七尾秀介のオカルト事件簿―

　とある秋のころ、七尾秀介（ななおしゅうすけ）は母親の死を切っ掛けに、とある地方都市、竜涎市に越してきた。その引っ越し初日に見たやけにリアルな夢の中で、口封じという言葉を聞いてから彼の周りで不可解な事件が発生し始める。いるはずのないクラスメート、都市伝説、怪異。彼の日常は、恐怖と死に彩られたものへと塗り替わっていく。

　秀介に託された使命とは。口封じの意味するものとは。事件を通じて知り合った彼岸と此岸の端境を揺れ動く者たちに関わっていくに連れ、彼は自らの出生に関わる秘密に迫って行く。