概要
存在しない神社。そこを訪れた記憶が確かにある。
由緒正しい神社のある港町。そこでは、海から来た神が祀られていた。神は、春分の夜に呼び寄せられ、冬至の夜に送り返された。しかしこの二つの夜、町民は決して外へ出なかった。もし外へ出たら、祟りがあるからだ。
そして、平成も終わりかけたある年――。
父が亡くなったため、彼女はその町へ帰ってきた。幼い頃に、三年間だけ住んでいた町だった。記憶の中では、町には古くて大きな神社があった。しかし誰に訊いても、そんな神社などないという。
神社について調べるうちに、不可解な事件に彼女は巻き込まれてゆく。
そして、平成も終わりかけたある年――。
父が亡くなったため、彼女はその町へ帰ってきた。幼い頃に、三年間だけ住んでいた町だった。記憶の中では、町には古くて大きな神社があった。しかし誰に訊いても、そんな神社などないという。
神社について調べるうちに、不可解な事件に彼女は巻き込まれてゆく。
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おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!神社のない町には、ナニカが棲んでいる——幻視の果てに神の姿は見えるのか
凄まじく読み応えのある作品でした。
日本人ならば感覚的に分かる「神さま的存在」が、知らぬうちにじわじわ精神を侵食してくる恐ろしさがあります。
しかし一方で、人と人とをつなぐ想いがどうしようもなく情緒を揺さぶってくる物語でもありました。
舞台となるのは「平坂町」。
かつて確かにあったはずの神社は、今や住人たちの記憶から消えていました。
十年ぶりに平坂町へ戻ってきた主人公・美邦は、級友たちと共にその神社のことを調べ始めます。
そんなうちに、周囲で少しずつ異変が起き始め——
幻視を映す美邦の視界を通して、過去にあった事件や事故の痕跡が見える町の風景。
家々の軒先に吊るされた紅い布。
出歩くこと…続きを読む