屍介護 -シカバネカイゴ-

作者 三浦晴海

619

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★★★ Excellent!!!

「これはもう、死んでいるのではないですか?」

そうとしか思えない誰かを、介護するという矛盾。
生きている確信が持てない人間を介護するという仕事の正体とは?

この物語は、終始ぞわぞわして不気味で、不穏で陰鬱で、何より怖いです。
そして、色々な人の思惑が錯綜して衝突して、まとわりつくまで分からない蜘蛛の巣のような伏線が張られ、怒涛の勢いで回収されていきます。

それは、点と線が整然と結ばれていく過程ではなく。

血液がひび割れや傾斜に導かれて輪郭を作り、何かを模っていく様です。

その血は、母性ではないかと思っています。

貴方は、どう思うのでしょうか?

結末を、正気を保って見届けられたなら。

ぜひともお聞かせください。

★★★ Excellent!!!

ホラー映画の良さが詰まっています!
スマホの使えぬ山奥の豪邸。じわじわ足元から這い寄ってくるような不気味さ。食欲が無くなるおぞましいシーン。積み重なっていく謎。
緻密な文章でリアルに情景が浮かんで、音や匂いまで漂ってくるようでした。
伏線もしっかりしていて、謎が解ける場面では「そうか!」と、うなりました。
前代未聞の介護ホラーミステリー。
手に汗握り、恐怖から目を逸らせない経験を、ぜひご体験ください。

★★★ Excellent!!!

本当に怖かったです。怖すぎました。
ネタバレなしで魅力をお伝えします。

主人公はとある屋敷でとある介護の仕事をすることになるのですが、怪しさ満載です。

ネットも使えない山の中。外部から遮断された住み込みの仕事。それに患者が明らかに普通ではない。まるで死体のよう。それなのにやたら溌剌として明るい先輩職員①と、やたら主人公にキツく接してくる先輩職員②。質問をしても核心の部分は教えてくれず、「指示通りやればいい」と言われる。謎は深まるばかり。怪しさしかないですよね。危険な匂いしかしません。

この、人間の本能で感じ取れる「なんか嫌だな」「なんか起きそうだな」をそのまま表したような作品です。

てっきりリングや呪怨のようなホラーかと思いきや…意外な事実が明らかになります。
スティーブンキングみたいとおっしゃる方もいましたが、まさにそんな予想の上をいくようなホラーです。そう来たか!と言いたくなります。

とにかく単純なホラーではありません。グロテスクの中にも考えさせられるものがあります。人間だからこそ作品内の事実に抵抗感があるのですが、自然の摂理で考えると完全に否定しきれない部分があったりするのです。

そして作品が終わっても続く恐怖があります。悪の教典のようなゾッとするラストと言えばいいのでしょうか…。(ネタバレしたくないのでもう言いません)

夏の季節にピッタリなので、夏の熱が冷めないうちにぜひ読んでみてください!

※深夜に読むのは危険です。暗い廊下を一人で歩くのが怖くなるかもしれません。自己責任でお願いします。

★★★ Excellent!!!

じっくりと丁寧にストーリーが描かれた作品でした。


序盤の異様な介護とそこに携わる人々から受ける不気味さは、焦らずに書かれることで主人公・茜を通してこちらにも伝わってきそうです。

前半から中盤はジワリジワリと謎が浮かび上がり、そして忍び寄る恐怖があります。それは、ゆっくりとした進行で「これはどこに着地するんだ?」ともなりますが、だからこそ、後半にかけての急転直下の怒涛の展開の勢いに放心状態です笑。

真実が明らかになってすら、決してスッキリとはしない終わり方。
良い意味で後味の悪い。

この余韻はしばらく続きそう……

★★★ Excellent!!!

面白かったです!
今までに読んだ、どの投稿小説よりも、群を抜いてレベルが高く、どちらかと言えば商業小説よりの作品だと思っていました。

(2022.3/26)角川出版から書籍化のお話が上がっているそうで、そのときも、この作品のレベルの高さから、嬉しさこそあれ、そこまでの驚きはなかったですね。

内容はとても緻密で、場面の様子から人物の心理描写まで、現実にアリアリと描かれています。

ここが、この作品を読む上での非常な安心感と、読者としての信頼に繋がっていきました。

ひとえに作者さまの小説への意気込みが伝わってきます。

不気味ですが、読み応えあり、物語としても単行本一冊を手軽に読む感覚で、楽しめる作品でありました。

★★★ Excellent!!!

襲い来る!
 少なからず人は職場において自らを作る。いわゆる、よそ行きの顔である。それは一方で同僚への気づかいであり、他方で自らを守るためである。
 本作での主人公の仕事はまるで怪異と謎にお仕えする如くであった。
 作者がその巧みな筆致で描き出すところの職場の人間関係はリアルであり、ゆえにこそ、その中で主人公が出会う怪異と謎の印象も、また、いや増す。一見、作者が見事に作り上げたこのコントラスト(対比)の中で、物語は進み行くと想われるが。
 ただ、最終局面へ向けて物語が加速するにつれ、全てが絡まりあい、その真の姿を現わす。それがいかなるものかは、貴方自身の目で確かめて欲しい。

★★★ Excellent!!!

屍を…介護?

タイトルだけで十ニ分に怖いのに、携帯も通じない山奥の洋館で、頭に袋を被った奥様に漏斗で生のミンチ肉を食べさせる簡単なお仕事ですよ。館には言葉を発しない坊ちゃん。2人の先輩たちは主人公の疑問には答えず異常な介護に勤しんでいる。
奥様は一体なんの病気なの?
なぜお顔を見てはいけないの?
奥様は本当は死んでいるんじゃ…?
数々の疑問が浮かぶなか、私の予想を見事に欺いて、凄惨な、この仕事の秘密が明らかになっていく。

この話の更新が、この夏毎日楽しみでしかたなかった。

★★★ Excellent!!!

最初は何の気なしに読み始め、文才があるなぁ、表現が素晴らしいなぁ、ストレスなく読み進められる綺麗な文章だなぁと。
読み進めるうちに、いつの間にか世界観に呑まれていました。久々に小説でぞわりと恐怖しました。素晴らしい!
最初から最後まで丁寧に作られた構成だなと思います。伏線回収も見事。
ラストが近くなるにつれ、思わず口を覆い、声を上げながら読んでいました。
すごく、すごく面白かったです!

★★★ Excellent!!!

私が読むのは1日1作品につき5話まで。
そして、多くの作品を乱読することにしているのですが、本作品は油断するとどんどん読み進めてしまっていました。
12月も半ばですが、多分、本年度私的カクヨム大賞作品です。

物語の当初から散りばめられている伏線の回収が見事!
設定の意味にすべて理由があって、構成が素晴らしいと思いました。

えー……まさかそんな細かい設定まで、ここに繋がるんだと。
どんでん返しもしっかりしていて、読んでてよかった……というか、読まなきゃ損な作品だと思ってます。

次作にも取り掛かられているようなので、楽しみに待ちたいと思います。

本当におすすめです!

★★★ Excellent!!!

主人公が転職して初めての担当したのは、人里離れた館に住む女性の介護。ほかの介護士と一緒に住みこみで仕事を始めるが、これでいいのか? と疑問ばかりが増えていく。腑に落ちなくて真実を知ろうとした主人公は―― 

真実を知ろうとすれば、謎は深まる。
気味の悪さが充満する山奥の館にひそむ真実は……。

深まる謎の先が知りたくて、すぐに続きを読みたくなる作品なので、ハマりすぎに注意です!

★★★ Excellent!!!

人里離れた森の奥。
ある理由で看護師を辞めた栗谷茜は、この地で新たな仕事を始める。
ただこの仕事には、「絶対に守るべき3つのルール」があり……。

読者に冷や汗をかかせる表現が散りばめられ、純粋にホラーとして読むこともできます。ですがこの作品の醍醐味は、何と言っても徹底的に考えられた伏線と、緩急のある展開。読み進める度衝撃を受けていました。これにはただただ、「すごい」の一言です。
そして、怖さだけを残すのではなく、テーマの重みもずしりと伝わってくる。すごく怖いけれど、また読み直したいとすら思うのです。

ホラー好きの方も、そうでない方も、是非。

★★★ Excellent!!!

 介護職に転職した主人公は、山奥にあるお屋敷である女性の介護を頼まれる。しかしそこに在ったのは、まるで虫の天蓋に伏した屍のような被介護者の姿だった。そして彼女の頭には、黒い袋が被せられていた。さらに、彼女に食べさせるのはいつも得体のしれないドロドロの肉で、強制的に胃に流し込む。これは介護なのか、それとも、病人虐待なのか?
 違和感を覚えながら介護を続けていく中で、主人公は被介護者の一人息子に出会う。息子は幼く、耳が聞こえなかった。そこで主人公は手話で息子とコミュニケーションを取り始める。ここで主人公は息子の「ママを助けて」という願いを叶える決意をする。しかし、非介護人の正体は――。

 山の中での男女の失踪事件と襲撃。
 そして主人公が採用された会社の本当の存在価値。
 物語は、けして理解し合えない者同士の悲哀と葛藤をもたらしながら、全ての伏線を回収して圧倒的なラストを迎える!

 この伏線の怒涛の回収や、読者を引き付ける文章、ホラーなのに加速する面白さ、全てにおいて最高でした。本当に、面白いです。

 是非、是非、御一読下さい!

★★★ Excellent!!!

この作品を、とある日に知って読み始めたら、もうそこからやめられませんでした。続きが待ち遠しくてたまらない、次の展開はどうなるのかとワクワクさせられ、毎日更新を楽しみにPCを開いたものです。
グロい場面が多々ありますが、その描写が後味が悪く感じない。そういう印象です。つらい過去を持ちつつも主人公が善き人間だからかもしれません。
もっとリアルな想像に食い込むような表現も、この作品なら余裕でいけそうです。
気持ち悪いと思われるか、そうでもない、と思われるかは、読み手の耐性?によるかもしれません。元医療従事者の僕には好物のものでした。

表現が巧く想像豊かに読み進められ、次の展開(続き)を読者にしっかり待ってもらえる素敵な作品です!
この続編もありだな、と思いますし、ミステリー&ラブコメなども良いかもと…思いつつ応援しています!
(ちょっと上から目線で申し訳ありません…)
 
 
 

★★★ Excellent!!!

 これは……なんでしょうね、この真綿で首を絞められるような、胸が苦しくなるような、圧迫感のある怖さ。携帯の使えない、山奥の古い洋館、っていうシチュエーションもヤバい感じなんですが、医療器具の描写とか介護の動作の描写が、すごくきっちり描かれているのが、また怖い感じを増してきます。

 回を追うごとに怖さが増してくるので、それに比例して読めるエピソード数が減って来て、ビビりな私は、今(=25話あたり)は一度に一エピソード読むのがギリです。でも、続きが気になるので、読むのを止めようとは思いません。

8/16完結したので補足
最後の方はもう、「早く続きが読みたい」って気持ちが勝っていました。本当に面白かったです。今、読み終えてすっごい充足感に満たされています。

★★★ Excellent!!!

カクヨムではホラーは滅多に読まなかった私ですが、数話を読んで、ものの見事に物語の中へと引き込まれていきました。

描写の緻密さなどは、他の方がレビューを書かれているので深くは触れませんが、文章に「寒気を覚えるほどの冷たさ」を感じました。

それだからこそ、謎が多い登場人物の会話が、浮き立って感じる。
小説とはこうあるものだとさえ、思いました。

これからの展開を楽しみにしています!

★★★ Excellent!!!

看護師から介護サービスの仕事に転職した栗谷茜。当初は訪問介護の仕事だと思われていたが、妙にアットホームな雰囲気を出す会社から言い渡された仕事内容は、住み込みでの介護だった。

勤務先となるのは携帯の電波も届かない山奥にある洋館。そこの主人である宮園妃倭子という女性を介護することになるのだが、彼女の介護をする際には絶対に守らなければいけない奇妙なルールがあった。それは……彼女の顔を絶対に見てはならないこと……。

顔を見せてはならないということで妃倭子は黒い袋を被せられており、こちらの言葉には一切反応せず、さらに食事は漏斗を使って口の中に生肉のミンチを流し込む……。明らかに異常な光景なのだが、この状況を当たり前のように受け入れているヘルパーたちも明らかにどうかしているし、さらに何やら秘密を隠している。当然茜の不安は募るばかりなのだが、屋敷の中では徐々に異変が起き始め……。

本作の素晴らしい点は、屋敷の主人の病状や彼女への介護の様子など、ひとつひとつの描写がとてもきめ細かいこと。描写の説得力が全体のリアリティの強度を高め、読んでいていろいろな意味で気分が悪くなってしまう。しかしそれでも先が気になって続きが読みたくなるからますますたちが悪い。
万人にオススメできる作品とは決して言えない。でも、こういうホラーが大好きな人、いるでしょう?


(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=柿崎 憲)

★★★ Excellent!!!

丁寧な描写と読みやすさ、先の気になる展開で引き込まれます。こんな表現を思い付けるだなんて凄いなと思う部分もちらほら。

今はまだ(2021/7/7時点では)謎だらけですが、どんな真実が隠されているのか早く知りたくてたまりません。

ほぼ毎日更新していて凄いのに、僕は続きはよ!! って思ってしまいますf(^_^;

★★★ Excellent!!!

人里離れた屋敷で、不穏な仕事を強いられる主人公。それぞれ謎を抱えているらしき登場人物たち。

ややファンタジックな舞台装置の中で、介護・医療のパートは執拗なほどに精緻に描かれていて、そういった描写のコントラストが、読み手にめまいのような倒錯感と不安感を抱かせます。

他のレビュアー様も称賛されていますが、文体は自然体で力みがなく、とても読みやすいです。

個人的にはエドワード・ゴーリーの不気味な絵本を読んでいるような感覚になりました。続きが気になって仕方がない作品がまた一つ増えてしまいました……。

※7/4現在

★★★ Excellent!!!

茜が介護するのは、寝たきりの女性。にもかかわらず、世話をするのは食事と入浴と排泄のみ。いったいなぜ?
読み進めれば読み進めるほど、得たいの知れない恐怖がじわじわとやってくる。でも、謎が知りたいから読んでしまう。そんな作品です。
ホラー好きな方にも、ミステリー好きな方にもおすすめです。

★★★ Excellent!!!

 普段、ホラー作品が好きであちこち読みに行きますが、こちらの作品は霊的なものではなく、何とも表現し難い人間的な怖さが楽しめる作品だと思います。
 一気に「わっ!!」と来るのではなく、じわじわ迫ってくるような、ひとつひとつ解いていくような緊張感が個人的にとても好きです。
 全体的に簡潔且つ分かりやすい文章で表現されており、どういう状況なのか、また周囲の情景なども含めて頭に浮かんでくるような感覚です。
 茜ちゃんの思っている通りなのか、それとも……?

 あなたもこの独特の怖さを堪能してみませんか?

★★★ Excellent!!!

5話目まで読んでのレビューです。
本作を読んで最初に思ったことは、情景描写が素晴らしいということ。文章量が多くなりすぎない範囲で、クリティカルに情景を書き表している…非常にイメージしやすいと感じました。

作者様はプロの小説家なのでしょうか…?このまま小説として出版されててもおかしくないレベルです!

私もこんな表現ができるようになりたい…そう思わされます。

キャラクターの個性も行きすぎない程度に細分化されており、それが絶妙!
本当にあった出来事と、実在する人物をそのまま描いているとしか思えない世界観、素晴らしすぎます!