本当に屍なら、介護は必要ない、はず。
- ★★★ Excellent!!!
「これはもう、死んでいるのではないですか?」
そうとしか思えない誰かを、介護するという矛盾。
生きている確信が持てない人間を介護するという仕事の正体とは?
この物語は、終始ぞわぞわして不気味で、不穏で陰鬱で、何より怖いです。
そして、色々な人の思惑が錯綜して衝突して、まとわりつくまで分からない蜘蛛の巣のような伏線が張られ、怒涛の勢いで回収されていきます。
それは、点と線が整然と結ばれていく過程ではなく。
血液がひび割れや傾斜に導かれて輪郭を作り、何かを模っていく様です。
その血は、母性ではないかと思っています。
貴方は、どう思うのでしょうか?
結末を、正気を保って見届けられたなら。
ぜひともお聞かせください。