本当に屍なら、介護は必要ない、はず。

「これはもう、死んでいるのではないですか?」

そうとしか思えない誰かを、介護するという矛盾。
生きている確信が持てない人間を介護するという仕事の正体とは?

この物語は、終始ぞわぞわして不気味で、不穏で陰鬱で、何より怖いです。
そして、色々な人の思惑が錯綜して衝突して、まとわりつくまで分からない蜘蛛の巣のような伏線が張られ、怒涛の勢いで回収されていきます。

それは、点と線が整然と結ばれていく過程ではなく。

血液がひび割れや傾斜に導かれて輪郭を作り、何かを模っていく様です。

その血は、母性ではないかと思っています。

貴方は、どう思うのでしょうか?

結末を、正気を保って見届けられたなら。

ぜひともお聞かせください。

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