被介護者の顔を見てはいけない。だって、彼女は大切な――。

 介護職に転職した主人公は、山奥にあるお屋敷である女性の介護を頼まれる。しかしそこに在ったのは、まるで虫の天蓋に伏した屍のような被介護者の姿だった。そして彼女の頭には、黒い袋が被せられていた。さらに、彼女に食べさせるのはいつも得体のしれないドロドロの肉で、強制的に胃に流し込む。これは介護なのか、それとも、病人虐待なのか?
 違和感を覚えながら介護を続けていく中で、主人公は被介護者の一人息子に出会う。息子は幼く、耳が聞こえなかった。そこで主人公は手話で息子とコミュニケーションを取り始める。ここで主人公は息子の「ママを助けて」という願いを叶える決意をする。しかし、非介護人の正体は――。

 山の中での男女の失踪事件と襲撃。
 そして主人公が採用された会社の本当の存在価値。
 物語は、けして理解し合えない者同士の悲哀と葛藤をもたらしながら、全ての伏線を回収して圧倒的なラストを迎える!

 この伏線の怒涛の回収や、読者を引き付ける文章、ホラーなのに加速する面白さ、全てにおいて最高でした。本当に、面白いです。

 是非、是非、御一読下さい!

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