主人公はカルト宗教を信仰している家に生まれた。そこで赤毛の主人公は信仰の対象だった。しかし、その務めを拒否したことから、主人公は火あぶりにされて、殺されてしまう。
次に主人公が目覚めたのは魔女裁判が横行する異世界だった。しかも目の前で神父が炎に包まれていた。水を求めると、外から悪魔の囁きだと拒否される。仕方なく主人公は驚くべき行動をとった。しかしこのことを契機に、主人公は魔女として裁判にかけらることに。どうやらこの教会では、祈りをささげる中、人が燃えるという現象が頻発していたらしい。主人公は自分の無実を証明できず、火あぶりの刑に処せられそうになるが、そこにう弁護人を名乗る一人の男性が現れ、「悪魔の火」の仕掛けを説き明かしてくれる。
弁護士を名乗る男性は、瞳が爬虫類の目のように縦に割れていることから、主人公は男性が「夢」で見た蛇の化身ではないかと疑う。そんな主人公を、弁護人は助手として同居することを提案するのだった。
見覚えのない人物に媚薬を売ったとされる人物や、ある女性をモデルとした画家の連続不審死事件。自分を魔女と言い張りる墓守り。それぞれが抱えている想いや不可思議な現象。それらを主人公と弁護人は解き明かし、裁判で証明し、魔女とされた人々を救っていく。
異世界リーガルものという珍しい作品であり、キャラクター達も魅力的。
異世界ものが苦手な方や、ミステリー好きの方にもお勧めします。
是非、御一読ください。
両親によってカルト宗教の教祖にさせられ、最終的には非業の死を迎えたまりあ。
今度こそ人を助けたい。
その願いを持って異世界へ転生します。
しかし彼女を待ち受けていたのは魔女裁判。またも理不尽な死に瀕したところ、弁護士のリリスに助けられました。
まりあはリリスの助手となり、魔女の疑いをかけられた被告人の無罪を証明していきます。
宗教優先の価値観。複雑な事情を抱えた被告。圧倒的に不利な裁判ですが、二人は真相を解き明かします。
まりあの聞きとる力、リリスの手段を選ばない捜査。地道に証拠を集め、悲劇や生き辛さからも被告を救っていきます。
悪魔や魔女が実在する世界での事件ですが、真相への推理は現実的。手がかりも散りばめられており、きちんとミステリーとして成立しています。
サクサクと読みやすい上に読み応えのある作品です。
女子高生教祖まりあは、カルトに狂った両親や信者によって殺され、異世界に転生する。怪しい者はすべて魔女。疑わしきは罰せよ。そんな理屈により、まりあは魔女裁判にかけられるが、そこに彼女を弁護する人物が現れる。
カルトや教祖といったパワーワードに加え、ファンタジー世界で裁判をするという着想に、とても興味を引かれました。
異世界・魔女裁判という言葉だけを見ると、ファンタジーなイメージが膨らみます。しかし、こちらの作品は弁護の際に現実世界にも存在する様々なものが絡められており、そのバランスが見事にファンタジーとミステリーを両立させています。
また、まりあの日本での境遇も単なるパワーワードに終わりません。その過去があるからこそ、まりあの思考や身に付いたものに説得力があり、異世界の価値観や倫理観と現実世界がリンクします。
物語は各章の法廷シーンを山場にした、決まった流れで進んでいきます。しかし、毎回違った要素が取り入れられるため、停滞することはありません。新鮮な驚きと共に、ストーリーはどんどん動いていきます。
色々な切り口を経験し、異世界がどういった所なのかがわかってくるほどに、物語は深みをまし、より面白くなっていきます。
救いを求めているのに助けてもらえないのは辛い。その辛さは自分ではどうしようもない、理不尽な運命のようなものかもしれない。登場人物たちの抱える事情が明かされたとき、そこから救い出そうと誰かが手を伸ばしたとき。そこには心揺らすドラマが生まれます。
ファンタジー、法廷ミステリー、人間ドラマ。様々な要素や設定が巧みに噛み合った作品です。その面白さや絶妙さを、是非もっとたくさんの方に味わっていただきたいです!
※第50話までを読んでのレビューです。
現世にてカルト教団の歪な断罪に巻き込まれて犠牲となった無実の娘が、異世界にて自分と同じように一方的な判断で無実であるのにも関わらず死罪となりそうな者達を、魔女裁判の場で弁護するという物語です。
この魔女裁判というシステムですが、舞台となっている異世界では明確に呪いや悪魔が存在しており、それだけに裁判の強制力は厳しく、一度疑われたならおいそれとは疑いが晴れなさそうで、にも拘らず主人公である娘・まりあと、相棒である弁護人・リリスは、地道に冤罪の証拠を集めては、改めて状況を推理し、無実の罪を被ってしまった容疑者の弁護を行うという、この少し難易度高めのバランス感覚が、エピソードごとの読後感の良さに繋がっていると感じる次第です。
また、悪魔に呪い、裁判に推理と書けば、幾分重々しい雰囲気ですが、実際に読んでみると、とても読みやすい文体で物語が綴られており、サクサク読めて、きっちり状況が飲み込めるので、リリスやまりあたちと一緒に、小気味良く推理を楽しむ事が出来ます。
登場するキャラクター達も特徴的であり、多彩であり、謎解きの要素も質が高く、読んで損が無い、とても良い作品だと思う次第です。
(第26話まで読んだ感想です)
主人公のまりあは、女子高生でありながらカルト宗教の教祖。まずこの主人公設定で、初っ端から心が鷲掴みされました。
信仰宗教に狂った両親や信者たち苦しめられながらも邪教を否定したまりあは、理不尽かつ残酷非道な魔女裁判にかけられ、無惨に殺されてしまいます。
ここまででも充分にドラマチックなのですが、彼女の新たな運命はここから始まるのです!
と言ってもよくある異世界転生もののように、イケメン王子らに溺愛される令嬢展開でものんびりスローライフでもありません。
待っていたのは蛇との契約。向かう先は追放者たちの国でした。
「誰かを助けてみたいの」
理不尽もまかり通る、現代日本の法治国家とはほど遠い世界で、まりあは自分の想いをどう達成してゆくのでしょうか。
続きをワクワクしながら楽しみにしています!
ファンタジーと裁判、異色の要素が見事にマリアージュした、異世界リーガルドラマ。
ありそうでなかった、鮮烈な読み口が非常に楽しい作品です。
本作最大の見どころは、やはり法廷のシーンでしょう。
被告人が『魔女』である前提で、並べ立てられていく関係者たちの証言。
それらを綺麗にひっくり返して無罪を証明する、動かぬ証拠と鮮やかな弁舌。
場面転換が潔く、ストーリーのテンポが非常に良いため、解決までの流れに小気味良い爽快感があります。
現代社会でも起こり得る問題が、ファンタジーの世界観にしっかりと落とし込まれているのがお見事。
偏見と決めつけに晒されることで浮き彫りになる被告人たちの生きづらさや無力感には、今を生きる私たちも共感を覚えることでしょう。
ちょっとどころではなく癖のある弁護人リリスと、前世の経験を生かして被告人の声を聞き取るまりあ、二人の名コンビぶりも絶妙。
軽妙洒脱なやりとりが、物語に華を添えています。
各章決まった流れのストーリーラインで展開されていく短編連作の安定感に、リーダビリティの高いこなれた文章で、どんどん読み進められる本作。
ぜひ、もっと多くの方に楽しんでいただきたい作品です!