異世界で法廷ドラマ! 求めるものに救いを。真実と人の心に光あれ

女子高生教祖まりあは、カルトに狂った両親や信者によって殺され、異世界に転生する。怪しい者はすべて魔女。疑わしきは罰せよ。そんな理屈により、まりあは魔女裁判にかけられるが、そこに彼女を弁護する人物が現れる。

カルトや教祖といったパワーワードに加え、ファンタジー世界で裁判をするという着想に、とても興味を引かれました。
異世界・魔女裁判という言葉だけを見ると、ファンタジーなイメージが膨らみます。しかし、こちらの作品は弁護の際に現実世界にも存在する様々なものが絡められており、そのバランスが見事にファンタジーとミステリーを両立させています。
また、まりあの日本での境遇も単なるパワーワードに終わりません。その過去があるからこそ、まりあの思考や身に付いたものに説得力があり、異世界の価値観や倫理観と現実世界がリンクします。

物語は各章の法廷シーンを山場にした、決まった流れで進んでいきます。しかし、毎回違った要素が取り入れられるため、停滞することはありません。新鮮な驚きと共に、ストーリーはどんどん動いていきます。
色々な切り口を経験し、異世界がどういった所なのかがわかってくるほどに、物語は深みをまし、より面白くなっていきます。

救いを求めているのに助けてもらえないのは辛い。その辛さは自分ではどうしようもない、理不尽な運命のようなものかもしれない。登場人物たちの抱える事情が明かされたとき、そこから救い出そうと誰かが手を伸ばしたとき。そこには心揺らすドラマが生まれます。

ファンタジー、法廷ミステリー、人間ドラマ。様々な要素や設定が巧みに噛み合った作品です。その面白さや絶妙さを、是非もっとたくさんの方に味わっていただきたいです!

※第50話までを読んでのレビューです。

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