概要
看護師から介護サービスの会社に転職した女性・栗谷茜(くりやあかね)。
介護に訪れたのは山奥にたたずむ洋館だった。
担当するのはそこの主、宮園妃倭子(みやぞのきわこ)。
しかしその異様な姿に茜は言葉を失った。
これはもう、死んでいるのではないですか?
一体、何が起きているの?
自分は何を任されているの?
謎の洋館で人知れず続けられている、物言わぬ屍を介護する仕事。
その真相に気づいた時、茜はさらなる恐怖を目の当たりにする……
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!数年ぶりに肌が粟立つ感覚を覚えました。
書籍版の方で読了。
この感動に居ても立ってもいられずここにレビューに参りました。
後半からの展開はまさかの連続で、オカルトと現実が見事に調和する様は凄まじかった。かなり勉強になりました。全く新しい形を見た気がします。
そして文体や伏線、キャラクター等も非常に丁寧でいて、不穏な雰囲気やここぞとばかりの過激な描写などのテクニックは必見でした。
いここ最近で初めてホラーで純粋に「怖い」と思いました。
自分怖いって感情がいつからか欠落してしまっていて、それを取り返すみたいにホラーに没頭しているんです。
数年ぶりに肌が粟立つ感覚を覚えました。
周囲の人に早速布教したいと思います。
自分も自作に…続きを読む - ★★★ Excellent!!!本当に屍なら、介護は必要ない、はず。
「これはもう、死んでいるのではないですか?」
そうとしか思えない誰かを、介護するという矛盾。
生きている確信が持てない人間を介護するという仕事の正体とは?
この物語は、終始ぞわぞわして不気味で、不穏で陰鬱で、何より怖いです。
そして、色々な人の思惑が錯綜して衝突して、まとわりつくまで分からない蜘蛛の巣のような伏線が張られ、怒涛の勢いで回収されていきます。
それは、点と線が整然と結ばれていく過程ではなく。
血液がひび割れや傾斜に導かれて輪郭を作り、何かを模っていく様です。
その血は、母性ではないかと思っています。
貴方は、どう思うのでしょうか?
結末を、正気を保って見届けられたな…続きを読む - ★★★ Excellent!!!怪しい仕事には絶対近寄らないと固く誓いました
本当に怖かったです。怖すぎました。
ネタバレなしで魅力をお伝えします。
主人公はとある屋敷でとある介護の仕事をすることになるのですが、怪しさ満載です。
ネットも使えない山の中。外部から遮断された住み込みの仕事。それに患者が明らかに普通ではない。まるで死体のよう。それなのにやたら溌剌として明るい先輩職員①と、やたら主人公にキツく接してくる先輩職員②。質問をしても核心の部分は教えてくれず、「指示通りやればいい」と言われる。謎は深まるばかり。怪しさしかないですよね。危険な匂いしかしません。
この、人間の本能で感じ取れる「なんか嫌だな」「なんか起きそうだな」をそのまま表したような作品です。
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