介護職に転職した主人公は、山奥にあるお屋敷である女性の介護を頼まれる。しかしそこに在ったのは、まるで虫の天蓋に伏した屍のような被介護者の姿だった。そして彼女の頭には、黒い袋が被せられていた。さらに、彼女に食べさせるのはいつも得体のしれないドロドロの肉で、強制的に胃に流し込む。これは介護なのか、それとも、病人虐待なのか?
違和感を覚えながら介護を続けていく中で、主人公は被介護者の一人息子に出会う。息子は幼く、耳が聞こえなかった。そこで主人公は手話で息子とコミュニケーションを取り始める。ここで主人公は息子の「ママを助けて」という願いを叶える決意をする。しかし、非介護人の正体は――。
山の中での男女の失踪事件と襲撃。
そして主人公が採用された会社の本当の存在価値。
物語は、けして理解し合えない者同士の悲哀と葛藤をもたらしながら、全ての伏線を回収して圧倒的なラストを迎える!
この伏線の怒涛の回収や、読者を引き付ける文章、ホラーなのに加速する面白さ、全てにおいて最高でした。本当に、面白いです。
是非、是非、御一読下さい!
この作品を、とある日に知って読み始めたら、もうそこからやめられませんでした。続きが待ち遠しくてたまらない、次の展開はどうなるのかとワクワクさせられ、毎日更新を楽しみにPCを開いたものです。
グロい場面が多々ありますが、その描写が後味が悪く感じない。そういう印象です。つらい過去を持ちつつも主人公が善き人間だからかもしれません。
もっとリアルな想像に食い込むような表現も、この作品なら余裕でいけそうです。
気持ち悪いと思われるか、そうでもない、と思われるかは、読み手の耐性?によるかもしれません。元医療従事者の僕には好物のものでした。
表現が巧く想像豊かに読み進められ、次の展開(続き)を読者にしっかり待ってもらえる素敵な作品です!
この続編もありだな、と思いますし、ミステリー&ラブコメなども良いかもと…思いつつ応援しています!
(ちょっと上から目線で申し訳ありません…)
これは……なんでしょうね、この真綿で首を絞められるような、胸が苦しくなるような、圧迫感のある怖さ。携帯の使えない、山奥の古い洋館、っていうシチュエーションもヤバい感じなんですが、医療器具の描写とか介護の動作の描写が、すごくきっちり描かれているのが、また怖い感じを増してきます。
回を追うごとに怖さが増してくるので、それに比例して読めるエピソード数が減って来て、ビビりな私は、今(=25話あたり)は一度に一エピソード読むのがギリです。でも、続きが気になるので、読むのを止めようとは思いません。
8/16完結したので補足
最後の方はもう、「早く続きが読みたい」って気持ちが勝っていました。本当に面白かったです。今、読み終えてすっごい充足感に満たされています。
看護師から介護サービスの仕事に転職した栗谷茜。当初は訪問介護の仕事だと思われていたが、妙にアットホームな雰囲気を出す会社から言い渡された仕事内容は、住み込みでの介護だった。
勤務先となるのは携帯の電波も届かない山奥にある洋館。そこの主人である宮園妃倭子という女性を介護することになるのだが、彼女の介護をする際には絶対に守らなければいけない奇妙なルールがあった。それは……彼女の顔を絶対に見てはならないこと……。
顔を見せてはならないということで妃倭子は黒い袋を被せられており、こちらの言葉には一切反応せず、さらに食事は漏斗を使って口の中に生肉のミンチを流し込む……。明らかに異常な光景なのだが、この状況を当たり前のように受け入れているヘルパーたちも明らかにどうかしているし、さらに何やら秘密を隠している。当然茜の不安は募るばかりなのだが、屋敷の中では徐々に異変が起き始め……。
本作の素晴らしい点は、屋敷の主人の病状や彼女への介護の様子など、ひとつひとつの描写がとてもきめ細かいこと。描写の説得力が全体のリアリティの強度を高め、読んでいていろいろな意味で気分が悪くなってしまう。しかしそれでも先が気になって続きが読みたくなるからますますたちが悪い。
万人にオススメできる作品とは決して言えない。でも、こういうホラーが大好きな人、いるでしょう?
(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=柿崎 憲)