Trivial story―忘れられた元勇者が名声を取り戻す話―

この物語の中心に立つのは、ボサボサの黒髪、使い古されたグローブにブーツ、ボロボロのマント、安っぽい革鎧、これまた安っぽい長剣、そして首から下げたいくつかのギルドの認識票を首から下げた、そんな一山いくらの運び屋の男だ。その認識票に刻まれた名はトリヴィアル（Trivial）、古い言葉で『取るに足らない』という意味だ。

彼とその従者たちは世界中を旅している。その旅を終えるために。失われた名を取り戻すために。

彼らは『取るに足らないもの』である。故にその生涯を語るものはほとんどいない。

それが200年前に魔王と戦った古き勇者と、その花嫁であろうとも。

だが、その呪い綻び始めた。彼らの雄姿を称えるものが、200年ぶりに現れたのだ。

これは、古き勇者が長い因縁にケリを付け、安らか残りの生涯を送…続きを読む