主人公アズガルドはテイマー(魔物使い)と言う
パーティーでは脇役である。
冒険者ランクは最高のSクラスなのだが
使役する魔物はBクラスのリッチーが一体だけ。
最難関ダンジョンへ挑むパーティーメンバーから
使役する魔物をSクラスに替えるように要請されたが
長年使役してきたリッチーを手放す事が出来ないアズガルド。
その結果、パーティーを抜けて娘が待つ村へ帰る事にする。
これが物語の発端である。
アズガルドは蜂の魔物によって生活を脅かされている
村人達のために冒険者として蓄えた知識を使い
蜂の魔物を討伐するのではなく「共生する」と言う方法で
脅威を取り除く事に成功した。
それは蜂蜜と言う新たな産物も産み出し
村に現金収入をもたらしたのだった。
この一件を皮切りにアズガルドは
さまざまな魔物がらみのトラブルを
「共生」や「魔物に対する正しい対処」と言う方法で解決していく。
タイトルに「 まもののおいしゃさん」とあるのは
ペットとして飼われていた魔物が体調を崩したおりに
依頼を受けて魔物を回復させた時に「お医者さんみたいだ!」と
言われたのをきっかけにして自ら名乗るようになった事による。
この作品において魔物は排除しなくてはならない異物ではない。
自然の中に生息する野生動物と同じ存在なのだ。
であるならば、人間の都合で殺戮するのは
間違ったやり方なのではないか?
アズガルドは人間の命も魔物の命も
等しく尊い物だと思っている。
だから討伐以外の方法を模索しトラブルを解決していく。
それは魔物には平穏な生活を、人間には共生による利益をもたらす。
まさしくWin-Winを実現する方法にワクワクしながら
物語を読み進める事ができる良作だ。
そして
「いやいや、これ討伐しなくても何とかなるかもしれないぞ?」
このセリフを目にした時、私は心の中で叫ぶのだ。
キタ━(゚∀゚)━!