魔物辞典


霧の大妖鬼ミスト・トロール


『霧中行軍から帰ってきた兵士の列は、後ろから三分の一が消えていた。――とある兵士の記録』


森に住まう巨大な魔物。知能は人の子供よりも低いが、千人力とも呼ばれる怪力と、ちぎれた指を即座にひっつけてしまう治癒能力を持つ。人型の魔物に共通する特徴として、人間及び亜人としか子を成せない。体格に比較してが小さいのはそのためだ。



屍肉喰らいグール


『限りない欲望を抱きたいがために、その腕はどこまでも長くなる。――名もなき冒険者』


不死者イモータルの中でも知名度が高い一つ。冒険者は上位からその依頼を受けるというほどの魔物である。特筆すべき腕の長さ、関節から関節までが、その身長ほどもあり、その指先には鋼鉄を切り裂くダガーの如き爪を持つ。理性はほぼなく、生者を憎み、その肉を食らう。



魔石像ガーゴイル


『城の屋根を悪意から守り給え。――斧槍に刻まれた古代文字』


城や遺跡を守る魔導生物の一つ。竜と悪魔を組み合わせたような独特の形状の姿を持ち、人に似た手には様々な武器が握られている。一流の石工が作り上げたそれは、竜と対等に渡り合うとも言われているが、宿場町の貴族を守るそれは三流の職人が手掛けたものだった。



群屍巨人ネクロジャイアント


『死者は焼いて埋葬せよ、特に戦争の後は。――墓守の言葉』


死体を寄せ集め、巨人を模したもの。死体があればあるほど巨大で強力な巨人となる。その性質上、切っても潰してもやがて寄せ集まり形をなすため、完膚なきまでに焼き尽くすか、その肉の一変までを浄化してやるしかない。戦争の後に現れるそれは、その肉に鎧が混ざり、やたら硬いのだ。



屍人ゾンビ


『腕がちぎれても、胴がちぎれても、頭が取れても、襲いかかる。』


正確には魔物でなく、死霊術により操られているだけの死体である。故に、腕がもげても頭がもげても、上下左右に真っ二つにされても動き続ける特性を持つ。無力化するには焼き尽くしてしまうか、物理的に動かせなくなるまでバラバラにするしかない。また、その性質上『浄化』ではなく『解呪』が有効である。



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