第52話 花の東京
♡お墓まいりの後、あさひは会社に戻ってね、運転手がそのままマキノたちを寮に案内したのね。
寮って聞いてはいたのだけれど、それは大きなマンションで。部屋のドアを開けると、そこには、ひなつ、いぶき、さくらがマキノをまっていたのね。♥
「みんな元気やったか!」
「うん!待ってたよぉ!おばあちゃんも、元気だった!」
「てか、何!マンションのワンフロアが寮って、てか、寮ですらないじゃん。マンションじゃん!」
「そうなんだよ、君が居ない間に、急成長したのだよ、いまから
結構です、あたしには、かわいい大豆ちゃんと
「そうそう、最近発酵食が見直されているんだよ、ねぇ、うちの物販でも売ってみない?味噌って発酵食だよね。」
「かもしれないけど。そんなに大量には作れないわよ。なんせ五人で回しているんだから。」
「アノオ味噌汁トテモオイシカッタデス。」
「だよねぇ、日吉さんのところの味噌汁美味かったなぁ、あれっ。日吉さんはなんでいないんだ?」
「ああ、東京でお友達がいるから、そっちで飲むんだって。」
「なんだよ、残念だな。ちょっと話したかったんだけどよぉ。」
「えっ、いぶき、日吉さんと何話すのよ!」
「イブキハ枯センナンデスヨォ。」
「おい、さくら!何。言ってんだよ!」
「ちょっとやめて、何?もしかして、いぶきがあたしの
「何言ってんだよ!んなことあるか!バカ!」
「あんな息子ですが、よろしくおねがいします。」
「嘘ようそ!ちょっとおばあちゃん、いぶきに頭を下げないで。」
♡あさひがマキノと浜をマンションの一室の寮につれてくると、
玄関の敷居から大盛り上がりで。まるで、盆と正月、いや、サンバカーニバルかな。まぁ、それくらいの大賑わいでね。
大きな高層の窓から見える景色は、宝石箱をひっくり返したように人の灯りがなキラキラ輝いていたの。
マンションから見える景色は目の前に大きな川のが流れ、街の灯火が川の
窓を水平に見上げると、空から赤い点滅した飛行機が地上に降りていくの、女の子なら誰でも憧れるようなロケーションかな。♥
「なんかすごいとこ住んでるじゃん、beni5の時は狭い部屋にぎゅうぎゅう詰めだったのにさ。」
「懐かしいわね。でも、最近あれも、楽しかったなって想い出すわぁ。」
「ったく、面倒だったよ!あさひとマキノはすぐに取っ組み合いの喧嘩するしよぉ。」
「ソウデスヨネ、アノコロモ楽シカッタデス。」
「なんだか懐かしいねー。ああっ忘れてた、これお供えで持って帰ってきたメロンだけど、食べるよね。」
「冷蔵庫で冷やしておこうか。キッチンどこなの?」
「アア、コッチヨ。」
♡キッチンについてまきのは目を丸くする、冷蔵庫の前に様々な食材が山のように並べられていたの。♥
「ちょっと、食材ちゃんと冷蔵庫に入れておかなきゃぁ。」
「ぎゃぁ!ミチミチ食材が詰まってんじゃん。これじゃ冷蔵庫冷えないよ!」
「あっ、もしかして、いぶき、日吉さんと話したいってって、料理作らそうとしてたの?」
「だって、日吉さんのつくったもの、全部おいしくていぶきほっぺおちそうだったんだモン!」
「急にブルなよ!」(※かわいこ振る=ブル)
「てか、居酒屋でもこんなに食材使わんわ!」
「まあ、ええがな、ほな、ウチが作らせてもらうわ、泊めてもらうんやし。」
「いやいや、みんなが家に泊まった時、何もしてないけど。」
「なに、マキノが「家」だって、もう、向こうの人になっちゃったんだね。悲しいね。おろおろ。」
「をーい、そこ!嘘泣きするなぁ。仕方ないわね!おばーちゃんあたしも手伝うわ。」
「おかんと、おかんの、おかんの、おかんの料理だ!」
「ややこしいわ!」
♡全ての食材を把握するまで15分。ざっと見ても50人くらいの量があって
浜とまきのは腕を組み、二人とも右手の人差し指を唇に当てて悩んでいるの。♥
「おばぁちゃん、これだけの量を作るの無理ねぇ。すぐ傷んじゃうものを先に使って、冷凍保存できるのは分けて置いておこうか?」
「そうやねぇ、ほんでも、この冷凍庫いっぱいやしなぁ。」
「ねぇ、あんたたち、自分の部屋に冷凍庫あるの?」
「あるけど、ない!」
「なんじゃそら。」
「だって、空っぽなんだもん!」
「もう、この冷蔵庫これ以上入らないわよ!作ったものを冷凍しておいて欲しいの!」
「ああ、それなら、大丈夫だ、まかしとけ!」
「なにが任しとけよ、冷凍しておくだけでしょ。」
「ピンポーン、ただいま!」
♡会社の会議で帰りの遅れたあさひがやっと社員寮に帰ってくる。♥
「ああ、あさひ。おかえり、色々とありがとう!」
「うん、いやごめん、会議が伸びちゃって、景気づけに荒巻鮭買ってきたよ!」
「なんで、そんなややこしいもの買ってくる!」
「ちょっと、あさひ、食材多すぎよ。これじゃ腐っちゃう!近所で誰かもらってくれる人とかいない?」
「ああ、そんなに多かったっけ?」
「多いわ!」
「そうだ、夜勤でプログラムしてる人にも食べてもらおうか。」
「何人くらいいるのさ?」
「30人くらいかな」
「えっ!そんなに!」
「二人で30人相手かよ、ねぇ誰か、料理好きな子とかいないの?」
「ああ、一人いる、もう寮に帰ってるのかな?」
「応援とか頼めないかな。」
♡しばらくするとあさひが若手の女の子を呼んでできたの。
まるで莉央をもう少し若くした感じの活発な子で、マキノに会っておじぎをするやいなや。♥
「あの、わたし、マキノさんのファンでした。握手していただいてもいいですかぁ?」
「えっ、なになに、なんで、あたしのファンに今日二人も会うんだろ。えっとお名前は?」
「
「そうなんだ、(莉央の名前とよく似てるじゃん)
「さぁ、料理隊は作業にかかりますか!」
♡和食は浜、洋、中華はマキノ、里乃は両方のアシストに入って作業していく。
キャベツ何玉あるのよ!半分ロールキャベツにして、半分は千切りにして食べようか。♥
「里乃ちゃん、キャベツの千切りお願いしてもいいかな?」
「はい任せてください。」
「スコッ スコッ スコッ スコッ スコッ。」
♡半切りにしたキャベツに里乃が包丁を入れていく。
別の料理の下ごしらえが終わっ他二人は半切りの手伝いを始めたの。
居酒屋日吉よりも長いキッチンに三人が横並びになり「スコッ、スコッ スコッ スコッ スコッ」っと、リズミカルに包丁をいれているの
里乃の横で浜とマキノが包丁手に持つと。♥
「スカカカカカカカカカッ」
♡まるで、ミシンのアームが激しく上下するみたいに、目に止まらない速さで包丁がスライドして、キャベツが解かれていくの。
「カカカカカカカカカッ………シャァアアアアアアア」
新品の包丁に慣れた二人はさらに速度増していく、切る音の間隔が短すぎて長い一つの音になっているわね。里乃は常人離れした技に目を点にして驚いているみたい。♥
「ふう!切れたぁ、里乃ちゃん、これをボウルにいれて冷蔵にいれてほしいんだけど、冷蔵庫パンパンね。じゃぁ、両手一握りくらいをラップに包んでくれない。」
「わ、わかりました!」
♡里乃が手際よくキャベツを丸くラップで丸めると。
「おーい!みんな、これ自分の部屋の冷蔵庫で冷やしといて。あと、各自冷凍できるものを分けといたから、これをしまてきて。はい!急いで!♥
「へ〜い」
♡リビングでテレビを見ているあさひたちが、マキノの指示にしたがって動いている。里乃の目からすると、
尊敬する上司を顎で使うマキノにラスボス感を感じ得ずにはいられなかったみたいだよ。♥
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