第47話 永吉の帰宅 



♥事故から三日後、奇跡的に全員が助かり

ヨットの被害だけですんだこの事故。


 実況見分の中で一つの疑問が浮上したんだ

それは、優作が古いボートに乗って浮上してきた目撃談で

全員ボートに「京」のという文字を見たことだったの。


 過去の事故文献をさかのぼっていくと40年前に永吉と共に消えてしまった

京都代表のボートではないかという話になり

 優作を救ったボートが沈んだ場所にダイバーが潜ってみたの。


 ダイバーは固定に黄色いボートを見つけたんだ

そしてダイバーがボートの底に白くて丸い石をみつけたの

ダイバーがその石を持ち上げてみると、それは人の頭の骨だったの。


 骨は警察の見識に回され科学的な見地でDNA鑑定をされ

間も無く結果が浜の元に来たの。

 そのおこつは紛れもなく永吉の亡骸なきがらだったの。

永吉の遺骨と確定され、浜と日吉そしてマキノは急いで永吉を迎えに京都の鑑定施設まで飛んでいったんだ。


 なぜボートが浮かんできたのか?いくつかの仮説がたちあがたわ。

山の伏流水ふくりゅうすいがボートを持ち上げた説

藻がちてできたメタンガスが吹き出したと説と。

結局わからずしまいで。


 でも、竹生の人は誰しもこう思ったの

それは永吉が優作を助けるために起こした奇跡だってね。


 実際、これは神様の私になんで助かったのかもわからないの

きっと、マキノが叫んだから、永吉の魂が力をだせたのかもってね。

そして、40年の時を経て永吉は自宅わがやに帰ってくることができたわ。





「おとうちゃん、おかえり。お疲れ様やったな。」


「永吉さん!優作君を助けてくれてありがとう。」


「おじいちゃん、マキノだよ、おじいちゃんの孫だよ。」





♡居酒屋日吉の中に祭壇が設けられて

やっと帰ってこれた永吉が桐の箱に入って来客者の挨拶を受けている。


 永吉が帰ってきて本葬儀が行われていたの

浜は喪主となって、やっと帰ってこれた永吉を

いまでも思ってくていた弔問者に挨拶をする。


 その横には、日吉と、マキノが並んでいた。

東京からあさひたちの弔電も届いていたの。♥





「浜ちゃん、永吉さんかえってきはってよかったな。」


「珠ちゃんありがと。」


「お礼を言うのはこっちや、永吉さんが優作を助けてくたんやろ。ほんまにおおきに。」


「優作くんが永吉さんみたいに勇敢やったから助けたんやとおもうわ、

それに孫のマキノちゃんもいたし。」


「ちょっと不思議なんやけど、ウチ、優作が溺れたって隊長さんから聞いて

病院に飛んでいったとき、ちょっと優作がぼーっとしてた時に口にしたんやけど

沈んでいく時にを聞いたんやて。

きっと、いや、絶対に永吉さんの声やわ。」





♡珠代が優作に聞いた言葉を、浜に話してしまうの。♥




「あっ優作に、内緒にしててっていわれてたんやった。」


「あの、わたしも同じ言葉をききました。優くんが沈んで行った時に咄嗟に、

おかあさんと、おじいちゃんって叫んでしまって。

そしたら、そうやって湖の中から声がして。」





♡浜は涙を拭きながら桐の箱を見上げながら誇らしげにこう言ったの。♥





「永吉さんは、マキノちゃんに呼んでもらって嬉しかったんやろな。

あの人子供好きやったから、自分の孫の頼みならきいてしまわるやろうしな。

きっと生きてはったら、すごい甘いおじいいちゃんやったとおもうで。

永吉さんおつかれ様でした。ここでゆっくりしてください。。。。

日吉旅館を手放してほんまにすみません。」



「お母ちゃん!それはちゃうで!おかあちゃんが、この場所を守ってきたんやがな!」




♡日吉が珍しく地元の言葉で浜をかばったの。

そう、今は味噌作りの工場と、居酒屋としか使われていないんだけど、

永吉の作った別館は今も浜が守り続けている。


 永吉が旅立ってからこの街がどんどん寂くなっていったんだ

日本中のどの街でもあったことよ

大きく飛翔できなかったの街が増えていった、そんな時代だったの。♥

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