第50話 お墓まいり 



♡緑のかえる色のローカル線から新幹線に乗り換えた一行。


 車窓から流れる景色がスピードに乗ってどんどん変わっていく

浜はバッグから永吉と映った家族写真を取り出して膝の上に置いて

永吉に車窓から流れる景色を見せている

マキノはまじまじとその写真を見永吉のことを聞いているの。♥





「永吉さん、あっ、おじいいちゃんってすごくイケメンでかっこいいです

肩に乗っているのは日吉さんですよね、なんかかわいい!」


「そうやで、あんなに可愛かったのに、なんかゴツくなってしもて。」


「かあさん、そりゃ成長するだろ。」


「おばあちゃんが抱いているのが、おかあさん?」


「そうよ、小海はすごい甘えっこでね、日吉が肩車してもらうもんやから、

すぐにうちのとこに来て抱いてっていうんよ、あー懐かしいわぁ。」


「この写真て、何かのお祭りですか?」


「あっ、マキノちゃんにはちゃんと話してなかったかいな。

永吉さんは竹生のボートの選手で監督とリーダーをしてはったんよ

これは、その大会で優勝した時の写真やの。」


「本当だ、後ろにボート大会って書いてる、なんか笑顔が幸せそう。」


「そうやな、このころは街も賑やかで、活気があったわ

うちは竹生に来てから、大女将には大事にしてもろてな

日吉と小海が生まれて最高に幸せやったんよ。」





♡あの日のことを思い出しながら写真をぎゅっと握るシワの集まった手。

その手にそっとマキノが手を添えて。♥





「おばあちゃん、ありがと

おばあちゃんがおかあさんを産んでくれなかったら

あたしもここにはいないもん。」


「マキノちゃん、ありがと、一緒に小海に会いにいこうな。」





♡いい話ね。すこしジーンとしているんだけど、通路の前ドアが開くと、ワゴンにいっぱい商品をのせた売り子が歩いてきて、日吉はサッと右手を上げたの。♥





「お姉さん!ビールとするめちょうだい!、あっ、母さんたちも飲む?」


「なんやあんた、通路側に座ったんはビール目的やったんかいな!

これから小海に会いにいくのに、なんてこと!」


「いいじゃないですか、楽し方がおかあさんも嬉しいと思いますから。」


「あたしたち、アイスクリームにしようかな、おばあちゃんも食べようよぉ。」


「そやな、可愛い孫にせがまれたら嫌って言えへんわな、ほなうちも

マキノちゃんと一緒でアイスクリームにしようかな。」





♥日吉ったら毎日飲んでるのに、違う景色でのむお酒はちがうか。

まぁ、でもこうやって三人楽しく迎えるんだからいいよね。♥





「ほら、おばあちゃん左を見て、富士山だよ!大きいでしょ。」


「わぁ。ほんまやな、すごい大きい、うち富士山見るの初めてやわ。」


「お会計が1,800円になります。」


「すごい!富士山てやっぱりおおきいなぁ、新幹線て真横を通るんやね。すごいわ。」


「でしょ、晴れててよかった!おばあちゃんに見せたかったんだ。」


「・・・・」


「あっ、はい、1800円だね。。。」




♥ちょうど富士山が見えて浜とマキノが夢中になっている時に、日吉が全額支払ってるね。まぁ、日吉も母親の笑顔を見られて嬉しいだろし。親孝行だと思いなさい。




「はい、アイスだよ」


「日吉さん、あっ。お金は?」


「いいよ、食べな、溶けちゃうよ。」


「うん、いただきます!」


「えっ、新幹線のアイスって結構カチンコチンで固いんだ。」

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