第26話 末長くお幸せに




♡「琵琶湖で遭難事故、全員無事救助!」

どの朝刊も優作たちが行った救助の記事が、でかでかと紙面を飾っていたの。


 紙面に使われていた写真はというと、レスキュー隊員に労をねぎらう

炊き出しボランテイアの女性が隊員に何かを手渡ししている後ろ姿の画像。


 そう、紙面写真にマキノの顔は見えなかったんだけど、隊員や・実行委員・居酒屋日吉の客・beni5メンバーなど、マキノのことを知っている人間ならすぐに、彼女だとわかったわ。♥





「なんだよあいつ、うまいことやりやがったな!」


「どんな手を使ったんだ!」


「あ〜あ〜。珠婆さんよろこんでるんじゃねーか?」





♡夜通し頑張った優作と草津は救助本部で一時間ほど仮眠をとり、詰所に戻てくると。


「おめでとう!優作!」


紅白の紙吹雪が優作に向かって投げつけられたの。♥





「えっ、ナンすかこれ。そんな、仕事なんでここまでしていただかなくても。」


「あん、なに言ってんだよ。あれだろ、こくったんだろ、マキノちゃんに。」


「えっ、なな、何で知ってんすか?」


「珠婆さんがFAXしてきたぜ、ほら。」


『みなさん、マキノちゃんに告白した優作の子供が早く見られますよう、何卒、何卒、お力拝借いただけますようおねがい申し上げます。』


「達筆な字でこんなの送ってきたぜぇ。マキノちゃんまでレスキューしたのかよ!」





♡優作が唖然としていると、当直の隊員がその朝刊を見せてたの、優作はじめて目にするマキノとの胸ドキでロマンティックな写真、で…その物陰からこそっと見ている珠代も写り混んでいる。


 こっそり二人の背後に近づき優作の告白の一部始終を聞いっていた珠代は、

でもマキノと優作をもっといい関係にしたくて、先回りして

隊員たちの協力を要請したの、まったく策士ねぇ。♥





「んだよぉ、婆ちゃん。」





♡新聞の写真が全てを物語っているわね。もう竹生町の住民の間では既成事実みたいになってるのよ。


 まぁ優作とマキノが一緒に歩いている姿を町の人になんども目撃されて、ちょっと噂もたっていたしねこれが決定打ってとこかな。


 今日も非番の優作は事務所で私服に着替え、眠たまなこで竹生行きのバスを待っている。

ベンチでバスを待っている間に莉央にメールをしたためたの、そうしたら返事が返っってきたわ。♥





「きのうは付き合わせてゴメンな。」


「いいえ、マキちゃんと末長く、お幸せに。」





♡ああ、ここにも一睡もせずに起きていた人がいたね。♥

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る