第19話 ダーク・インザ・ダーク




♥前にも言ったとおもうけど、この世を汚して行くのは、

鬼や悪魔でなく、人間自身の気持ちだって言ったわよね。


 ここ数年わたしたちでも見ることができない黒くて冷たくて

不快な空間があちらこちらに増えているの。


 ときおり私たちもその闇が恐ろしくなることがあるんだ

たぶんインターネットが一気に広がったせいだとおもうんだけどね。




《あ~、毒はどうしてるんだろ、早くタヒんでくんねーかな。》


《だよなぁ、なんだかよ、ベニゴは解散してから、みんなで会社起こしたそうだ、ん中にいるんじゃね?》


《なんで、解散したのにみんなツルんでんの?》


《わかね、なんでもいいけど毒だけは許せねーな。てんちゅー食らわさねーと》


《あれっ、最近総長来ねーな、もうベニゴ捨てたんか?》


「総長入室」


《総長いらさせー》


《毒キラーの真打ち登場!》


《総長最近サボりすぎ。どうやって毒に天誅あたえる?》


《毒は滅びろ!毒そこ悪魔!》


《我らは光の天使なり!》


《天誅天誅天誅天誅天誅天誅天誅天誅!》


《すまん、もうこんなの、やめねーか、不毛だろ?》


《えっ?なに言ってんの、ナリスマッシャー?》


《ID、は総長ほんにんだぢゅ》


《どした、なんか悪いもん食ったか?》


《いや、個人攻撃てか。もうベニゴないんだし》


《あれれれ!あの一千年続く恨みを捨てたといわせんぞ!》


《あの、ブスがベニゴ潰したんだぜ!》


《そうかもしれないが、こうやって話していても成長せんだろ、おれら》


《ちょま。まじで、もう俺らの楽しみって毒をネットで天誅てんちゅるかしかねーじゃん》


《ナニこれ、さいて!総長ご乱心でござる!》


《毒子に天誅!毒子に天誅!毒子に天誅!》




♥この国いっぱいに散らばっている闇の心が未だにマキノを恨んでいるみたい。暗い部屋にこもり、ネットとかいう道具に恨みの力を溜め込んで真っ黒にそまっている。


 わたしたちの力でもでもあまり奥までみえないの

気持ち悪い不快な空間があちらこちらで「ぶすぶす」って

黒い炎を上げながらくすぶっている。


 わたしなんだか怖いな。そんな闇の中で一人の男が、

キーボードを打ちながらつぶやいたの。




…マキノちゃん、きっと何かあったんだよね、いままでひどい事言ってごめん。

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