第16話 ホントにごめんなさい



♡マキノが帰ってしまってからすぐのことだけど。

自分の言動に反省した莉央は、再び優作に電話をいれたの。♥




「優ちゃんさっきはごめんね。もしよかったらだけど。

今からでも街の案内についてまわろうか?」


「……そうだなぁ、虎姫さんにちょっと聞いてみるよ。」


「うん、おねがい。」





♡電話をして10分ほどで虎姫を乗せた車が戻ってきたの、

駅のロータリーで莉央を拾って車に乗り込んだ莉央は素直に虎姫に謝ったの。ごめんなさいって。♥





「あのさ、莉央ちゃん、じつは、お願いしたいことがあってね。」


「えっ、なんですか?」


「実は、マキノのことなんだけど。毒子とか言われているじゃん。

……あれって。実はなんだよね。」


「えっ?それってどーいうコトです?」


「実は、その………なんだ。」


「うそ、それってホントなんですか?」


「ああ。そうなんだよ。」





♡マキノに悪態ついてしまって申し訳ない気持ちでいっぱいの莉央は

虎姫に本当のことを聞くと、息ができないくらい気持ちが締め付けられたの。

 虎姫の言った内容はまだちょっとんだけど、

でもいつかわかる日がくるから。♥




「だから、その、あまり、マキノを責めたりしないでほしいんだ、

情けない話だけどサ。」


「そうなんですね。。。あの。。。虎姫さんもしかして。

マキノさんのことが好きなんですか?」


「おいっ、莉央、何言ってんだよ!突然先生にそんなこと!」


「そうかもしんないね。でもはそうも思ってないだろうなぁ、

あんなしたんだから。」





♡優作達の車は、ふたたび街の古刹を巡っている。

虎姫はビデオカメラを片手に莉央の説明を記録していき、街を一回りして竹生町の説明が終わったの。

 あまり車内では会話も弾まずに虎姫を駅まで送り届けたあと。♥





「優ちゃん、わたし。マキノさんに謝りたい。

なんか、あの人すごいつらいじゃん!おねがい、居酒屋日吉に連れてって!」





♡マキノの真実を聞いた莉央は、自責の念で胸が張り裂けそうになっていたんだ。

自分の境遇よりもを我慢しているマキノに対して申し訳ないきもちでいっぱいになっていたのよ。

莉央と優作は黙り込んだまま居酒屋日吉の玄関の敷居をまたぎ、開店の準備をしている日吉に挨拶したの。♥





「よぉ、莉央ちゃんに優か!珍しい組み合わせだな。」


「あの!日吉さんマキノさんは帰ってこられましたでしょうか?」


「いやぁ、あれっ、優おまえマキノちゃんと一緒だったんじゃないの?」


「いやぁそれが、ちょっと色々ありまして。」


「ちょっとここで、マキノさん待たせていただいてもいいですか?」


「いいけど、用事なら電話する?」


「いいえ、直接話したいので、またせてください、優ちゃんは帰っていいよ。」


「莉央、俺も待たせてもらうよ。」


「おいおい!なんだよ、恋の揉め事とかじゃないだろうなぁ。」


「………」


「…すまん、俺だまっとくわ。」





♡太陽が傾き二人が神妙な面持ちでマキノを待っている、日吉が玄関に暖簾をかけに玄関にでると。ちょうど珠代を連れて帰ってきたの。♥





「ただいま!日吉さん、遅くなってすみません。準備てつだいますね…

えっ。あっ!、えっと、伊香さんでしたよね?あっ、優作さんも。」





♡莉央はマキノの顔をみると、突然その場にしゃがみ込み居酒屋日吉の床に手をつき土下座をして謝っているの。長い髪の毛が床につき何度も「すみません」って。♥





「マキノさん。わたし、マキノさんのこと何も知らないのに。酷いことを言ってしまってすみませんでした!」



「ちょっと!伊香さん!そんなに謝らなくていいから、あたしぜんぜん大丈夫だよ。だから気にしてないし。とにかくそんなに頭なんか下げないで。」



「おれも、ごめんなさい!マキノさんすみません。」



「ちょっと、ちょっと、優作さんまで!土下座なんてやめてってば!

二人して、もう、ほら日吉さんびっくりしているじゃん。珠さんも止めてくださいよ。」



「いいえ、わたしの言葉は決して許されることじゃないです。だから謝りたかったんです!」



「いいんだから、もうやめてよぉ。」



「莉央ちゃんもうええよ、マキノちゃんもわかってくれてるみたいやし、

莉央ちゃんきっと本心や無やろって言うてたから。」



「わかったわ伊香さん、じゃぁさ、今晩一緒に飲もねっ。

もしよかったら、何ていうか、これから仲良くしてもらえないかな。

同年代の女の子の友達いないし、仲良くしてくれたらうれしぃなぁ。」



「元はと言えば僕が声をかけたからです。だから、僕のおごりにさせてもらってもいいですか?」



「えっ、優作さんだめだよ、そんなの。悪いじゃん」



「やった!優ちゃんのおごりだって、!」



「えっ、あたし、なんか…嬉しいな。

じゃあ莉央ちゃんで呼んでいいかな?」





♡莉央は、マキノの優しい言葉が嬉しかったんだろうな、目にはうっすらと涙を溜めちゃって。

 一人っ子で育ってきた莉央に念願の姉妹ができたみたいだったの、ほんとマキノにさとされて妹みたいな顔になっちゃって。


 そしてマキノはいつものようにエプロンをして厨房に入り手際よく段取りをしている。

 ちょうどそこに用事で出ていた浜も帰ってきて居酒屋日吉はまた今日も賑やかにもりあがっているわね。♥




「ばあちゃん!飲み過ぎだよ。」


「ええやんか!今日は優作のおごりやろ!」


「優作さん、なんかちょっと嬉しいかな。ありがと!」




♡珠代は嬉しそうに浜と一緒に座敷でビールを頼み、

優作と莉央はカウンターの椅子に座っている。

 二人の前にはエプロンをつけて、厨房に立っているマキノは莉央と

話しながら同年代トークで盛り上がっているわね。


 しばらくすると、おいしい香りに引っ張られたお客さんが次々と入ってきて

マキノは忙しそうに店を動き回りながらも

合間に莉央とガールズトークに花を咲かせているわ。


 あたらしい友達できてよかったじゃんマキノ、そして莉央も。♥

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