第57話 再出発
♡「とんとんとん・ジュージュージュー」おいしそうな朝の湯気がたっている。
台所でマキノと浜が朝食の準備をしていたの。
みんな起きかけていたんだけど、幸せな朝の音を聞きながら日曜日の朝のまどろみを楽しんでいる。♥
「おはようございます、マキノさん遅くなってすみません、手伝います。」
「あっ、里乃ちゃんおはよ。手伝ってくれてありがとう。」
「隣の部屋で寝ているあさひたちに朝食を運んでいってもらえる?」
「なんか、おかんがいる朝って、きもちいいわぁ。」
「あさひ起きてるんでしょ、社長がぐずぐずしてどうすんのさ。
顔くらい洗ってきなさいよ!まだもうちょっと時間かかるから。それにあんたらも起きて!」
「は~い。」
「いぶきも起きてよ!朝は時間がないんだから!」
「むにゃむにゃ、このまどろみ。さいこぉ。」
「こら!起きろ!」
「マキノちゃんお母さんみたいやね。ずっとそうやったん?」
「ん~と、そうだなぁ、朝は弱かったかな、だいたい夜中まで大騒ぎしてたから、よくあんなの毎日してたわね。」
♡みんながリビングに集まって、もそもそと朝食を食べ始めるの
4人はボーッとしていたんだけど、次第にエンジンがかかり始めて、
ツバメの巣のヒナように、かしましく食卓を囲んでいる。
朝を食べ終わり浜とマキノは帰り支度をすると、里乃はマキノにお別れのハグをして部屋に戻って行ったの、最後の時間はメンバーのためと気を使ったのね。
そして、寮を出てメンバーそろって品川駅まで二人を送っていくと、駅前には日吉が立っていたの。♥
「ああ!日吉さんだ!」
「ミスターヒヨシ!」
「ああ、ダーリン会いたかったよぉ。いぶき
「この前はお世話いただきありがとうございました。」
♡朝の品川駅であさひたちが日吉を取り囲み、先日のお礼をして楽しそうに写真を撮っている、あ~あ、鼻の下伸ばしてデレデレじゃん!♥
「みんな元気してたか?いぶきちゃんメールありがとな、マキノちゃんたち横浜行くんだろ、俺もついていくよ。」
「えっ、なんや。知ってたんかいな。時間大丈夫か?」
「ああ、まぁ、なんとかなるだろ。」
「あたしのわがままでゴメンなさい。」
「いいって、おれもマキノちゃんが生まれた街を見てみたいからなぁ。それにかわいい姪っ子のためだったら、例え火の中水の中だよ。」
「くすっ。おばあちゃんと同じこと言ってる。」
「てか、いぶきが連絡してくれていたの?」
「だってぇ、先に言ってあげないと、日吉さんも突然言われて困るじゃないですかぁ。」
「それはどうも。(いぶきマジか!てかなんでメール交換してんの!)」
♡まぁ、結果オーライで。日吉のセリフが昨日の夜に浜がマキノに言ったことと同じだったのでメンバーもくすくすと笑っているね。♥
「えっ、なによ、あ~昨日、寝たふりして起きてたんでしょ、あんたら!、すぐ人の話を盗み聞きする!」
「だってさ、なんかおばあちゃんとマキノの声聞いてたら心地よくってさ。安心したっていうか、懐かしい気持ちっていうか。」
♡楽しい時間はあっという間に過ぎていく…そして別れの時間
マキノは二年前メンバーに見送られたのと同じ景色を重ねてみたの。
旅に出た日、明日どうなってるかわからなかった自分だけど
マキノたちを乗せた新幹線はゆっくりとホームを滑っていく。昨日スカイツリーであさひの言った一言がさらにマキノを強くしたの。♥
「タイムカプセルみたいにいまでもあの時の気持ちをもっていてくれて、いつまでもマキノのままでいてね。」
♡いつも別れはいつもちょっぴり悲しいけど、でも今回は違う。
また会うまでの充電期間と思って心からの笑顔でさよならできたんだ。♥
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