第02話 マキノ と あさひ
♡突然だけど、アイドルグループって知ってる?
うら若き女の子が集まって歌や踊を披露するやつで、さっき見たでしょ、くしゃみしてた「ゆるふわ髪」の彼女。
マキノはアイドルグループに所属していてね人気絶頂の頃もあったんだけど、自然消滅っていうのカナ? 今は活動していない女性アイドルユニットの元メンバーなんだ。
そのグループ名は
ちょっと彼女のことを説明しようか。
マキノは恐ろしいほどのポテンシャルの持ち主でね、歌、ダンス、芝居、全てトップクラスの技量でなんでも器用にこなすの。
でもね、ただ唯一弱点があって、この職業にとって致命的なんだけど…。
『オーラが無い!まったく無い!』
人を惹きつけるためには絶対的な要素のオーラが無いのよ!
あなたの近くにもいるよねぇ、魅力あるんだけど……なんだか残念な人って。
まさにマキノは典型的なオーラ無し人間。それでもなんとか頑張って8年間アイドルを活動していたの。
beni5は弱小事務所ながらも結成から7年目までは人気も引く手
時を重ねることに人気も下火になっていき、あと事務所のゴタゴタとかいろいろあって、いつしかグループ活動が休止になっちゃって。
厳しい人気商売の世界。
雨の翌日のタケノコみたいにニョキニョキ、ニョキニョキ生えてくるように
新しい人気者が矢継ぎ早に出てくる世界だからね。
お仕事がほぼ無くなっちゃった後はメンバーが
「もう使われる側なんてイヤッ!自分たちで商売した~い」って
新しい会社を設立して商売を始めのたんだ「ネルカリ」とか言ったかな。
インターネット販売ってやつ、まぁ
みんなが盛り上がる中、マキノは、ちょっと思いがあって
会社を立ち上げようとしていたメンバーの元を、離れちゃったんだ。♥
「マキノ!みんなでインターネット販売の会社しようよ、絶対に儲かるって!」
「あさひ、ごめん、一度自分で探してみたいんだ、何か、私にできる何かを。」
「何かって?なんかしたいことでもあんの?」
「まだ、それわ…わかんないけど。」
「………………………」
「あっ、そうだ!じゃぁ、ちょっと面白い所あるから行かない?」
♡マキノと話しているパッと見た感じ、気のキツそうな和顔の美人が
このふたりはちょっと特別な関係でね。
マキノは小学4年生の時に大切な母親を亡くしちゃったんだよ
それで擁護施設であさひと出会ったの
施設内に居場所の無かったマキノを救ってくれた大切な存在なんだ。
あさひは、とてつも無いほどパワフルで
年上の男の子をギャンギャン泣かす、どんな虫も素手で掴む
すぐに施設から逃亡する、悪事は数え切れないわね。
まぁとにかく「台風の目か!」ってくらいの元気さで
常におとなしいマキノを振り回し、いたずらに明け暮れる日々。
でもね、あさひは周囲に気は利くし、頭の回転も早くて、根は優しい子なの
そんな二人は施設の中で本当の姉妹みたいにすくすくに育っていったわ。
こんなエピソードがあるんだけど。
高校二年の頃、二人は夏休みを利用して野球場でドリンクの売り子のバイトを初めたワケ、もちろん学校には内緒、大学生だって偽ってね。
応援スタンドに立った瞬間。二人はひっきりなしに声かけられて
そりゃもう売れるわ、売れるわで…。
あさひの販売記録は
そんなあさひはマキノと正反対で、恐ろしいほどオーラパワーの持ち主でね
神様の私が言うのは変なんだけどオーラ熱量のがハンパないのよ!
だから、とにかく人の目に留まりやすいの。
言葉は悪いけど、夜の街灯に集まってくる虫みたいに
お客が次から次へと寄ってくるのよ、だからじゃんじゃん観客に声かけられて
ジュースやビールがバカ売れする訳。
そんな二人の人生の前に大きな転機が訪れたんだよね。
夏休みも終わりかけの週末、一見チンピラ風の芸能プロダクションの社長が
あさひに声をかけたんだ。♥
「おねーちゃんベッピンさんやなぁ、どうや、アイドルになってみいひんか?」
「
「えっ?ちょっとなんの話?」
♡んで、マキノもあさひに引っ張られるように芸能界入りしたのよ………
まぁ、そのグループbeni5は休眠中で活動してないけどね。♥
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます