第37話 弁天ネックレス



♡時は40年以上を経て、小海の忘れ形見がいま祖母の前で立っている、浜は時のいたずらをかんじていたの。


「マキノちゃんのお母さんの本名は…今津小海なんだよ!」」


 日吉が玄関先で言った言葉、「高島愛佳」の昔の名前は今津小海だってこと。マキノは少し混乱してしまったの。♥





「えっ、どういうことですか?日吉さん。」


「かあさん、おれもうがまんできへん!………もうええやろ!」





♡日吉が四人組の背後の引き戸をひらくとそこは18畳の大広間が広がっていたんだ。マキノもまだ足を踏み入れたことのない部屋の奥に、日吉は時間の忘れ物を取りにいったの。♥





「マキノちゃん、そのペンダントの背後にEtoHてかいたあるやろ、

あれは、永吉から浜にってことなんよ。」


「そんな。じゃぁ、浜さんが、わたしのおばあちゃん…なの?」


「ごめん!マキノちゃん!ホンマごめん、

小海が死んでしもたんはうちのせいやぁ

うちがあの子を自由にさせたらんかったからや!

ホンマ許して、小海ホンマこんなお母ちゃんで許して。」


「浜ちゃん!落ちおついて。だれか、水、水ちょうだい!」




♡珠代は忘れもしないあの日のことを思い出していたの。

永吉を無くして浜辺でなきじゃくる浜の姿を珠代も浜に寄り添っていた一人だったの。


 あの日のように自分を責める浜、どうしていいかわからないマキノ

あまりの話の展開に固まってしまうメンバーと弁天味噌のメンバーそして莉央。♥





「小海ごめんなぁ、うちがしたいことさせてあげられたら、

こんなことなかったんやろ?うちを恨んでるやんな。」






♡まきのは母の愛佳、そう小海が最後に話した言葉をおもいだしたの

目の前で大好きな母親の命が弱まっていく。

弱ってしまった母の言った言葉が、鮮明に浮かび上がってきたんだ。♥






「違う!ちがうの!」


「ごめんな、マキノちゃんもうちを恨んでるんやね。」


「だから違うの!浜さん聞いて、お母さん、息をひきとる前に、最後にこうこう言ってたよ!」



「マキノ、愛してるずっと愛してる。おかあさん、ごめんなさい。おかあさんって。」



「だから、浜さんを恨んでなんかない!

だって、お味噌をずっと作ってくれてたよ、あたしに弁天味噌の味を伝えてくれたよ、浜さんの守っている味も日吉さんの玉子焼きも私に伝えてくれたよ。

本当は、おかあさんのほうが、謝りたかたんだよ!」


「ほ、ほんま…マキノちゃん!小海の言葉を伝えてくれてありがとう!」


「あたし、浜さんに出会えてよかった!よかったよぉ!」





♡浜とまきのが抱き合って泣いている、その背後に日吉が小さな写真立てを持って立っている。♥





「そうか、小海がマキノちゃんにうちの味を親父おやじの味を教えてくてたのか、かあさん小海はいまでもここにいるだろ孫まで連れて帰ってきてくれたんだよ、やっと家に帰ってこれたんだよ。」





♡日吉が奥の部屋からでてくると、マキノに一枚の写真をわたしたの

小海の笑顔が写っていたミス弁天に選ばれた時の写真。


マキノは大好きだった小海と16年ぶりに再会したの。♥





「お、お、おかあさ、、、、ん、おかあさん!おかあさん!」





♡マキノは日吉から受け取った写真を抱きしめて大声で泣いたわ

莉央が優しくマキノの背中をさすってくれている。

 

 莉央の目からも涙があふれていた、いやみんな泣いていたわ

そのあと、日吉の頼んだ探偵がすべてのことを話してくれたの。


 なぜわたしが、こうまでしてマキノをここに導いたかもうわかったよね

そう小海がわたしの生まれ変わりだったからよ。


 小海の目が閉じて見えなくなる最後までマキノの幼い泣き顔が見えていたわ

だから、わたしがおこしたかった、「キセキ」ってこのことなの。

おかえり、小海。わたしの生まれ変わり、そして可愛い子♥

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