第06話 味噌工房
♡居酒屋日吉の奥には、蔵のようなひんやりとした部屋があって
美味しいお味噌はこの弁天味噌保存協会の
「さぁ、マキノちゃん、少しやけど、あんたのお味噌作ってみるか?」
「はい、よろしくお願いします。なんか、めっちゃ楽しみです!」
「まずは、大豆を水につけて柔らかくするんよ、この時に小さいゴミとか取るんやで。」
「ほんとだぁ、水につけるとゴミって浮いてくるですね。」
「ゴミ取り終わったか?この硬いお豆さんは、
こん晩くらいになったらぷくぷくに膨らむんやで。」
「へぇ、まるで、なんかお豆さんがお風呂に入っているみたいですね。」
♡先ずは大豆のゴミ取りから。
浜の手ほどきで、マキノは大豆を大きなボウルに入れ水に浸けると、混ざっていたカスやゴミがいうてくるの。水面に浮いている浮遊物を
豆が水を吸って膨らむと煮出しにかかるの、それまでしばらくのあいだ休憩でマキノも浜も仮眠して晩御飯に。♥
「浜さん、なんかまた晩飯までいただいちゃって悪いですよぉ。」
「ええんよぉ、気にしんとき、ほれより見てみ。」
「わぁ!お豆さんが大きくなってる!」
「そやろ、あんな硬かったお豆さんがさわってみ。」
「ああ、なんかちょっとふにゃふにゃになってますね。」
「これをな、お鍋で煮るんや、ほな、ボウルからお鍋に移そか、重たいで。」
「はい、移しました。これでいいのかな?」
「へぇ!マキノちゃん重たなかったん?」
「ええ、これくらいなら。」
「すごい力やなぁ。」
♡次は膨ませた大豆を鍋に入れて煮ていく作業。
コトコト、コトコト。鍋からふわんと湯気があがり、浮いてきた大豆の皮を丁寧に取り除きながら、蒸発した水を足しつつも煮出して、煮出して3時間。
ぷくぷくに膨らんだ大豆を機械に投入すると、モンブランケーキの
そんでね、お塩と、麹、煮汁をまぶして
マキノは熱い大豆も何のその、優しくでも力強く!
一生懸命に大豆をこねているマキノの後ろ姿を浜はなんだか嬉しそうに見ているわ。♥
「浜さん、こんな感じですかね?」
「すごい!「まきの」ちゃん手先が器用やね、ベテランみたいやわ
器用っていうか手慣れた感じやね。」
「えへっ、昔ですけどお母さんと一緒にお味噌もつくりましたから。
なんだかその時をおもいだして、懐かしくて楽しいです。」
「そうやね、昨日そう言うてたね、それにしてもえらい古風なお母さんやったんやね。」
「まさかまた、お味噌を作るなんておもってもいませんでした。」
♡マキノが捏ねあげた生地を木の味噌樽に敷き詰めていくのね。
大豆を一握りして樽の内側に投げつけるように、「パンパン!」って押し付け
空気を抜きながら底から大豆を圧縮するように詰めていくの。
はじめはおっかなびっくりで大豆を詰めていたんだけど、
なんか腰も入ってきて「バンバンバンッ!」って。
マキノの額にはうっすら汗が噴き出していたわ♥
「はぁ、うまいもんや!ウチほんまびっくりやわ。
マキノちゃっがよかったらやけど、このお味噌ができるまでウチにいてくれへんか?」
「えっ!そんなぁ、悪いです。」
「このあと作ったお味噌も何回か「かいかい」(切り返し)したらなあかんし。
どうやろ?」
「えっ、どうやろっていわれても……。あの、本当にいいんですか?
せっかくこうやって作らせてもらったんで、最後まで面倒を見させていただいてもかまいませんか。あっ、宿泊費はちゃんと支払いますので。」
「お金なんかいらんから、マキノちゃんがいてくれるだけで、孫が来たみたいでほんま嬉しいわぁ。」
「あの、じゃぁなんですけど。……住み込みというか、半年間でいいんで
わたしもお味噌作りを手伝ってもいいですか?」
「ほんまぁ、みんなも喜ぶわ!是非お願いするわ!」
♡浜の読み通り、マキノは味噌作りに興味を持ってくてたみたいね
それにしても、浜の目は自分の孫に接しているかのように優しい瞳だったの。♥
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