9/16 オゾン層保護のための国際デー

 オゾン層は破壊されてしまったので、地上に人は住めなくなってしまった。少ない生き残りたちは、大気圏外のコロニーに居を移している。

 第二陣の私たちを、コロニーの先輩方は暖かく迎え入れてくれた。彼らは壊れ物でも扱うように、ずいぶんと丁寧にもてなしてくれる。一足早く地上から安全地帯へと逃げた負い目か、とも思ったのだが、どうもそれだけではないらしい。

 第二陣が向かうまで、五十年の時が過ぎた。戦争が起きたのだ。戦争によりオゾン層の破壊が加速したのは言わずもがな。五十年という僅かな期間で第二陣が向かうことができたのは、どこの国も組織も戦う余力が尽きたからでしかない。

 コロニーには当時の生き残りもいる。しかし世代交代が行われているから、コロニーネイティブも少なくない。地上との五十年の断絶が、彼らを不安に駆り立てていた。そんな彼らの不安を癒やすため、今日も今日とて楽しいお茶会だ。

 コロニーは、地上の静けさからはずいぶんと遠い。失われた活気は空の上にあった。かつてオゾンによって守られていた人類が、いまや人工の箱の中で生き続けている。限られた資源の中で、今度こそ人は善くいられるだろうか。

 さしあたっては、守ってくれるもののない先輩方を、優しく籠絡していこう。

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