続く
後輩がチューハイ片手に玄関で出迎えてくれた。今は懐かしい高校の制服を着ていることから、既に酔っていると察せた。仄かに頬を赤らめて、えへへと笑う彼女。散乱したアルコール飲料の空き缶は、若さの象徴である制服とはアンビバレンツでいかがわしい。
酒を飲んでいるときの後輩はいつだってご機嫌だ。普段二人でいるときだって、こうも笑顔にはなるまい。そんなことを口にしてしまえば、まるでアルコールにまで嫉妬する男だと思われてしまう。事実そうであったとしても、わざわざからかわれることを言う必要もない。こんな気持ちになったときは、酒を呷るに限る。
冷蔵庫に向かおうとすると、後輩に引き止められて立ち上がらせてもらえない。なんだなんだと彼女と向き合えば、ぐいと飲みかけを渡される。
普段は笑いもしないのに、酒を飲むといつもこうだ。彼女のやることぜんぶを真に受けていたらきりがない。ぬるくなった酒を、俺は一気に口に流し込む。
なんで制服を着ているのかとか、どうして酒を手渡したのかとか、疑問に思うところはある。何もかもがわからなくても、それでも明日はやってくる。先送りと現実逃避を俺は飲み干す。
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