9/18 ナショナル・チーズバーガー・デイ

 ある日、手のひらからチーズバーガーを出せるようになる。そんな能力に目覚めるのであれば、雷や炎とか、あるいは石油とかのほうが正直良かった。まあ贅沢をいっても仕方がない。チーズバーガーは好物だし、昼飯代が浮いてラッキーとでも考えよう。

 とか思っていたが、それどころではなくなってしまう。社会の秩序が崩壊したのだ。どうにも変な能力に目覚めたのは私だけではなかったらしい。攻撃的な異能力者たちが日夜ドンパチしているから、インフラはまともに機能していない。町も人も大混乱。国がちゃんと動いているのかさえわからない。おかげで私は三食チーズバーガー生活だ。

 チーズバーガーを周囲の人に配ろうともしたのだが、先輩に止められる。おおっぴらに活動していると悪い能力者たちに捕まって、閉じ込められた先で延々とチーズバーガーを作り出す日々が待っているぞ、なんて脅されたのだ。

 まあ、私はそうして捕まってしまったのだが。忠告を無視して配り回った結果である。先輩と二人で今は牢屋暮らし。私を見捨てられないのが、先輩の悪いところだ。住めば都と考えて、この混乱が落ち着くのを待つのも悪くはない。

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