9/13 プログラマーの日

 偉い人が語るには、どうにもこの世界は作り物らしい。私も先輩も犬も猫も山もビルも、みな平等に0と1の羅列。違うと思っていた他者もなにもかもがおそろいであることは、それはそれで素敵なことだろう。

 一方で、先輩は1を超えて2を自称しだした。自分はもっと高次の世界の存在だと語るのだ。確かに先輩は、これまで二段ジャンプや壁抜けなど、およそ通常ではあり得ない挙動を見せてきた。手品だと思っていたのだが、その種明かしは納得いかない。これまでの尊敬を返して欲しい。

 2は先輩だけではなかったようで、至る所から声が上がるようになる。そのうち同類で仲を深めたり、あるいは排斥が起きるのも時間の問題だろう。似たようなシチュエーションを映画で見た。戦争を始めるなら私が死んだ後だと嬉しい。

 いや、もしかしたら私も2である可能性だってある。階段からジャンプする。普通に落ちた。壁に打ち付けた額も痛い。私は単なる0と1だった。

 無様を晒している私を、先輩が笑っている。今のうちにせいぜい笑っているといい。作られた世界でも、2が含まれていなくても、足を止める理由にはならない。私もいつか、先輩へと飛ぶのだ。そのためには、先輩だって踏み台にしよう。

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