概要
サターンは魔王の城で魔王やその臣下の魔族たちに愛されて幸せに育った。ずっと続くはずの平和な生活は、ある日突然終わりを告げる。
「魔王を滅ぼす勇者が選ば
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- ★★★ Excellent!!!正解は、ひとつじゃない。自分の中の『正義』を探せ
魔王を勇者が倒すことによって、すべてが再構築される世界に住む、住人たちのお話です。
登場するキャラクターはとても愛らしく、会話も軽妙。
文章もテンポよく進むため、作者様が設定した世界観にすんなり入っていくことができます。
ただ、冒頭より作者様は、読み手側に提示します。
「倒されるため」に存在する魔王。
「倒すため」に選ばれる勇者。
でも、選択肢は他にもあるんじゃないのかな、と。
『たったひとつの正義』『唯一の真実』というのは聞こえはいいですが、それは思考の放棄であるようにも思えます。
この物語のキャラクターたちは、誰もが答えを求めて悩み続けます。
誰かが出した答えに、「それは間違いだ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!悪党
既存の権力に従わない強者を、中世日本語では悪党と呼んだ。現代社会では単なる犯罪者だが、世界は常に秩序と混沌を繰り返す。
運命なり宿命なりに逆らう存在は常に魅力を持つ。それは、我々の大半が従わざるを得ない恐るべき力を無力化してくれそうな期待を刺激するからだろう。
本作で描かれるのはそうした『悪党』どもである。仲間内でじゃれ合い、現代的な意味での悪党を憎み、愛のなんたるかを知っている。たった一つ違うのは彼らの大半が人間ではないことだ。
具体的にどう違うかは実際に読んで頂くとして、作中での人間社会は作者が述べる通りに堕落していた。読者に不快感のある刺激を与えぬよう配慮した書き方にはなってい…続きを読む - ★★★ Excellent!!!心のこもった冒険ファンタジー
魔族の町で育った子供・サターンは、勇敢で思いやりのある子。大好きな魔王ロベリアを守るために旅立ちます。
この物語に登場する魔族は決して悪者ではありません。それなのに、なぜ勇者は魔王を滅ぼすのか?
そこには、神が定めたこの世界に関するシステムが関係しています――
登場人物がみんな魅力的です。彼らは、自分の欲のために旅をしません。金も美女も名声も求めず、いつも誰かを思って行動しています。
ちりばめられた謎たち。読み進めるごとに、今後の展開が気になって仕方がなくなっていきます。
勇者はなぜ姿を現さない? フェルシとルトロスはサターンに何を隠している? その正体は? サターンの出自は?
そして…続きを読む