第14話 クラリスの平日 その5

ロッゾを一通りくすぐった後、風呂場を出てお互いのの髪を乾かし合う。ロッゾはそこまで長い髪では無いのですぐ乾かし終わるが、私の髪は結構長いので乾かすのにかなり時間が掛かる。


「クラリスの髪はいつもツヤツヤしてて綺麗だよね」

「えっ、ロッゾって髪フェチなの?」

「いや別にそういう訳じゃないよ? ただ単に綺麗だなぁーって……」

「なに? 私の髪には萌えないっての?」

「え、えぇ……。萌えない事は無いけど……」

「じゃあロッゾも髪フェチなのね!?」

「理不尽過ぎない……?」


そんなやり取りをしながらロッゾは私の髪の水分を拭き取る。仕上げにドライヤーをして貰い、そのまま2人で寝室へと向かう。


「さぁロッゾ!! マッサージの時間よ!!」

「やたらとテンション高いね。明日今日の反動が来ないか心配だよ……」

「大丈夫よ問題ないわ」

「なんか似たようなセリフを聞いた事ある」

「気のせいよ気のせい」

「ならいいけど……。さて、腰の方から始めるか」

「ちょっと強めでお願い」

「はいよ」


そう言うと、ロッゾは私の腰を強めに指圧し始める。


「あ”あ”あ”あ”あ”あ”……それ効くぅ……」

「もう少し強くしよっか?」

「お願ぃぃぃぃぃぃ……」


ロッゾは注文通り指圧の強さをさらに強める。そのまま15分ほど腰の指圧をして貰うと、腰の痛みが完全にとれて腰が軽くなった。


「……こんなもんかな?」

「……もう終わりぃ~?」

「腰の痛みはとれたでしょ?」

「……そうねぇー。毎日ワイバーン通勤で腰がやられてる私には良く効いたわ」

「あははは……無理はしないでね?」

「大丈夫大丈夫。まだ腰はそんなに悪くないから」

「そう? ならいいんだけどね。さて、次は肩を揉もうかな」

「そうね、肩はさっきより弱めがいいわね」

「了解」


ロッゾがさっきより弱めに肩を揉む。弱過ぎず強過ぎず、本当に丁度いい力加減で肩を揉みほぐす。


「もうちょっと強くする?」

「……このままで大丈夫~。気持ちよすぎて寝れる……」

「クラリスは疲れてるんだし寝ちゃってもいいんだよ?」

「…………んぅ……ロッゾとイチャイチャしたいから我慢するぅ……」

「まったく……クラリスは健気でかわいいお嫁さんだね」

「…………もぅ……ロッゾったらぁ……」

「声が微睡まどろんで来てるよ? 大人しく寝といた方がいいんじゃない?」

「…………大丈夫らからぁ……」


そうは言いつつも実の所はかなり眠い。このまま眠気に流されて寝てしまいたいが、今日は長くロッゾとイチャイチャすると心に決めたのだ。ここで眠気に屈する訳にはいかない。


「…………よしっ!」

「うわっ、びっくりした!! ど、どうしたの急に?」

「気合を入れたのよ」

「リラックスするのに気合いって必要なの……?」

「いや、ロッゾとイチャイチャする為に気合いを入れたのよ。私の目は完全に覚めたから今日は覚悟しなさいよ」

「あはは……。お手柔らかにね? さて、後はどこをマッサージすればいいかな?」

「んー、マッサージはもう大丈夫よ。そろそろイチャイチャしましょうか」

「別にいいけど、イチャイチャするって何すればいいの?」

「そうねー……膝枕とか? ほらロッゾ、おいで?」


そう言って私は正座になり、膝をポンポン叩く。


「じゃあお言葉に甘えようかな……」


ロッゾは私の膝に頭を乗せて目をつぶる。


「どう? 私の膝は」

「とっても柔らかくて気持ちいいよ。このまま寝ちゃいそうになるくらい」

「ちょっとなら寝てもいいわよ? 頭もなでなでしてあげるから」


私はロッゾの頭に手を伸ばし優しく頭をなでる。


「どう? バブみを感じるかしら?」

「めちゃくちゃ感じるよ……。昔を思い出すなぁ……」


そう、しみじみとロッゾは答えた。


「なんか子供をあやしてる気分ね……」

「もし子供が出来たらこんな風に甘やかしてあげてね?」

「そうねー。その為にはロッゾに頑張って貰わないと」

「あはは。程々にね?」


そんなやり取りをしながら今日も1日が終わる。

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