第28話 結婚記念日 その4

「んん〜。どの服を着ようか迷うなぁ……」


クラリスとのデートなんて久々だし、何を着て行くか少し考えよう。やっぱり結婚記念日だし、少ししっかりした服を着ていった方がいいのかなぁ。でもこの後クラリスと一緒に遊園地に行くんだし、軽めの格好していった方がいいのかな?ああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎ デートなんて久々過ぎて何着ていっていいか分からないよおぉぉぉぉぉぉぉ‼︎

…………いや、落ち着くんだ僕。取り乱しても何もいい事はない。ここは1つ冷静になって考えてみよう。僕だったらどんな服を今日クラリスに着て欲しいか。やっぱりオシャレとかはそんなにせずに、普段通りの格好の方をして欲しいと思う。記念日とは言えどかしこまった感じの記念日じゃないんだし、こういう時は楽しんだ方がお互いに変な気を使わなくていい。そう考えると、自然と今日着ていけばいい服も分かってくる。


「そうだな、やっぱこの服かな……」


僕はクローゼットの中に収納されていた服を取り、それを着る。この服も長らく着てなかったな……。サイズとかが唯一の気掛かりだったのだが、そこら辺の問題も大丈夫の様で問題無く着れた。最後にクラリスから誕生日プレゼントととして貰ったネックレスを付けリビングへと向かう。

リビングに着くと、まだ着替え終わっていないのかクラリスの姿がなかった。


「クラリスが来るまでコーヒーでも飲んでゆっくりしようかな」


そう言ってコーヒーサーバーへと向かい、コーヒーを入れてから砂糖やミルクを混ぜて良い感じの甘さに調整する。僕は甘党なので砂糖を3杯とミルクを少し多めに入れ、ソファに座ってゆっくりとコーヒーを飲む。

しばらくするとクラリスが普段通りの服装で部屋から出てくる。しかし、少し普段と違う点が1つだけある。クラリスは、僕達が初めてデートをした時の服を着ているのだ。やはり結婚記念日だからだろう。僕と同じ考えでホッとしたよ。


「ごめんロッゾ、お待たせ。何着てったらいいか迷っちゃってね」

「大丈夫だよ。僕も何着ていったらいいか迷ったしね」

「なんだロッゾもか。で、結局それに落ち着くのよね」

「まぁね。やっぱり結婚記念日と言ったらこれでしょ?」

「懐かしいわね。あの時はロッゾの休みがなかなか見つからなくて大変だったわ」

「ハハハ、そんな事もあったね。でもそんな出来事も今となってはいい思い出だよ?」

「そうね。今日はそんな頃を思い出しながら色んな所回りましょうか」

「うん、今日のデートコースは懐かしい所を回るようにしたから色々思い出して回ろうね」

「えぇ」


2人で玄関の方まで行き、靴を履いて家のドアを開ける。最初の目的地は僕達が初めて知り合ったマンションの近くにある公園だ。

いつもよりも軽い足取りで、僕らは目的地へと向かった。

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