第29話 結婚記念日 その5
家を出て20分程歩くと、僕達が前暮らしていたマンションの近くの公園に到着した。公園はそこそこの広さを誇っており、今も元気に遊び回る子供やベンチでのんびりしているおじいちゃんおばあちゃん達で賑わっている。やはり少し田舎の方だからだろうか緑が多めの公園で、僕も芝生の上でよく昼食を取っていた。
「いやー、懐かしいねココ」
「そうね、ホント懐かしい……。今思えば休日のお昼にココでご飯食べてたの私達ぐらいだったわよね」
「うん。僕の会社じゃお昼休みなんてそんなに設けられてなかったし、休日ぐらいはのんびりお昼ご飯を食べたかったからね」
「私もお昼はそんなに時間取られてなかったからロッゾと同じ結論に至ったわ。ここって何だか落ち着くし、日々の疲れがよく取れるのよねぇ」
「うんうん、僕らに取っては
「ええ、普段はお外でのんびりなんてなかなかしないしいいと思うわ」
そう言ってクラリスがベンチに腰掛ける。
僕もその隣にゆっくりと腰掛け、2人で走り回る公園の子供達を眺めた。
「私達にも子供が出来たらこんな風に遊ぶのかしらね……」
「そうだね、多分こんな風に休日は遊び回るんじゃないかな? 平日は学校とかに行かせてあげたいし」
「ロッゾは子供欲しい?」
「そりゃもちろんさ。昔っから子供は愛の結晶って言われてるし、なんたって子供が出来たら絶対毎日がもっと楽しくなるじゃん」
「そうよね、私も子供が欲しい。例え異種族同士での子供が産まれにくくても、可能性はあるのよね?」
「前に聞いた話だと全然あるらしいよ。ほら、僕らそんなに回数を重ねてないしなんたってまだ結婚1年目だよ? そんなに焦らなくてもいいんじゃないのかな?」
「うん、そうね。なんか私、焦り過ぎてたみたい。もうちょっとゆっくりでもいいんだよね? 私達は、私達のペースで歩いて行こうね」
「うん、それが1番いいよ。やっぱりこの公園に来ると落ち着いて物事を考えられるね」
「そりゃあ私達の憩いの場だからね」
「そうだね。どうする? もう少しゆっくりしてく?」
「私はもう堪能したから大丈夫よ。ロッゾがまだ居たいならもうちょっと居てもいいけど……」
「僕も十分堪能したから大丈夫。それじゃあ次の目的地に行こうか」
「次の目的地って?」
「それは着いてからのお楽しみと言う事で」
そう言って足を進める僕達。
次の目的地は遊園地だ。クラリスの喜ぶ顔が早く見たいな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます