最終回 それから……
「パパ! ママ! ただいま!」
元気な声と共に勢い良く開かれる扉。
白く輝く髪をたなびかせ、黒くうねった角を生やした少女が息を切らしながら帰宅したのだ。
「おかえりアリス。お友達と遊べて楽しかった?」
「うん! みんなと一緒にお花のかんむり作ったんだよ! はい、ママにもアリスのかんむり分けてあげるね!」
そう、この
「ありがとうねアリス。……見てみてロッゾ!! アリスからお花のかんむり貰っちゃった!!」
「羨ましいなぁ……アリス、パパの分は……?」
「パパには絶対似合わないから作ってきてませーん!」
「トホホ……。僕もアリスのお手製花かんむり欲しかったよ……」
「確かにロッゾには花かんむり似合わないかもねぇ。代わりにママと一緒にロッゾにも何か作ってあげましょうね〜」
「うん‼︎ パパも楽しみに待っててね‼︎」
「ありがとうアリス‼︎ よーし、今日の夕飯は張り切っちゃうぞー‼︎」
と、まぁ僕達はずっとこんな感じでアリスにデレデレだ。
ずっと欲しいと願ってた子供ができて舞い上がらない親は居ないだろう。
と、言うわけである程度のデレデレは許して欲しい。
「あっ! アリスもお料理お手伝いするー!」
「えぇっ!? アリスが料理!? 気持ちは凄い嬉しいけど、包丁とかで手切っちゃうから危ないよ!?」
「アリス大丈夫だもん‼︎ パパの子供なんだからお料理もちゃんとできるもん‼︎」
「よく聞いてねアリス? アリスはパパの子供であると同時にママの子供でもあるんだ。つまりお料理が苦手っていう場合も……」
「ちょっとロッゾ? そのセリフは聞き捨てならないわねぇ。でもアリスが怪我しちゃうってのは私も心配よ」
「ぅーん…………でも……でもでも‼︎ やっぱりアリスはパパのお手伝いしたい‼︎」
「じゃあパパと一緒にじゃがいもの皮ムキムキしよっか?」
「うん!! アリス頑張るね!!」
「クラリス、要らないチラシ持ってきてくれる?」
「えぇ、ちょっとまっててね」
「よーしアリス、まずはじゃがいもをしっかり洗うんだよ」
「パパ、こんな感じ?」
流水でじゃがいもを洗うアリス。
たどたどしい手付きではあるが、一生懸命洗って僕の手伝いをしてくれようとしているのは十分に伝わってきた。
「はい、ロッゾ。チラシ持ってきたわよ」
「ありがとうクラリス。じゃがいもを洗い終わったら次は皮を剥くよ。怪我しないように気を付けてね?」
「うん!」
そんな感じでアリスがじゃがいもの皮を不慣れな手付きで剥いて行く。
それをビクビクしながら見守る僕達。
しばらくするとアリスは無事じゃがいもの皮を剥き終わり、満面の笑みを浮かべてこちらを見た。
幸せな1日って言うのは、多分こういう何気ない出来事があった1日の事を言うのだろう。
僕は断言して言える。僕達は幸せだ。
この幸せな思い出をこれから沢山作っていきたい。新たに加わった
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