第40話 結婚記念日 その16

「おぉー、凄く高いわねロッゾ!! もしかしたら私達の家見えるんじゃないの!?」

「あはは。まだ登ってからそんなに経ってないよクラリス? 1番上まで行けば見えるかもしれないね、僕達の家。まぁ暗くてハッキリは見えないかもしれないけど」

「そうね、それを考えるとちょっと残念かも。でも綺麗な夜景よね。私達の家が見えなくてもこの夜景が見れれば十分よ」

「うん、ホントに綺麗だよね。街の灯りとかがだんだん点ってきて、そろそろ仕事も終って家に帰ってくる人も多いんじゃないかな?」

「そうね、ホントだったら私も帰りの支度してる時間だもの。そういう人がたくさんいてもおかしくないと思うわよ」

「そうだよね。クラリスは今日一日休めて羽根を伸ばせた?」

「そうねー、私は十分休めたわよ? 誰かさんのせいでいろいろと走りまわったけどね?」

「あはは、それを言われるとちょっと痛いかな? でもクラリスが楽しんでくれたみたいで何よりだよ」

「そういうロッゾはどうなの? 私と一緒に遊園地回って楽しかった?」

「そりゃもちろんさ。また来ようね?」

「えぇ、今度は子供と一緒に……ね?」

「そうだね、それじゃあ今日は張り切っちゃおうかな」

「ふーん、今夜は期待しちゃっていいの?」

「もちろん、がんばってクラリスの期待に応えるよ」

「じゃぁ期待しておくわね。もしも期待を裏切ったら……許してあげないわよ?」


そんなことをクラリスがおどけながら言ってくる。

僕も見栄を張っちゃったし今夜は頑張ろう…………干からびない程度に。

そんな事を考えていると観覧車が一番高い所に到達した。


「見て見てロッゾ‼ 多分ここって一番高い所よね⁉」

「うん、多分だけどそうだね。ここからの景色ってすっごく綺麗だね」

「ええ、ホントに綺麗だわ‼ ワイバーンに乗ってる時には全然気にすることなんてなかったけど、こうして見るとなかなかいいものね。今度からは下の景色にも目を向けてみようかしら」

「いいんじゃないかな? でも安全運転を心がけてよね?」

「もちろんよ。ゆっくり飛んでもらいながら眺めるわ」

「ゆっくりなら僕も見れそうかな?」

「ロッゾも大丈夫なスピードにしてあげるから今度一緒に眺めてみる?」

「いいの? それじゃあお言葉に甘えて乗せてもらおうかな」

「まっかせなさい!」


そう自身満々に言うクラリス。

これは今度が楽しみになって来た。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る