38話 結婚記念日 その14
「ねぇロッゾ、この先ってまだ長いのかしら……」
「そりゃあまだ長いんじゃない? さっき入ったばっかだし……」
「もう無理ぃ……」
「ほら、頑張ろクラリス?」
少し休憩をしてから再び歩き出した僕達だがクラリスが早々に駄々をこねている。
よっぽどさっきの演出が怖かったのだろう。確かに僕もビックリはしたが元々こんな風に急に出てくる系統のお化け屋敷はそこまで苦手じゃないので、これ以降はクラリスをリードしてあげれる筈だ。
少しペースが遅い気がするのでクラリスの手を引きちょっとだけペースアップを図ってみる。
「ちょ、ちょっとロッゾ? なんだかペースが早くなってない?」
「うん、少しペースが遅めだったからね。大丈夫だよ、僕はもう慣れてきたから」
「ロッゾが大丈夫でも私が大丈夫じゃないわよぉ……」
「頑張ろうクラリス? ここでじっとしててもお化け屋敷は終わらないよ?」
「それもそうだけどぉ……」
「だったらほら、駄々こねないで進も?」
「…………わかったわよぉ……」
クラリスが渋々と僕に手を引かれ付いてくる。
しかし、休憩してから少し歩いた気がするがまだ次の仕掛けとは遭遇していない。本来だったら既に次の仕掛けがあるぐらいの場所まで来たと思うんだけど……。
「……ね、ねぇロッゾ。アレってなに……?」
クラリスが蒼白な顔で何かを指さす。
「どうしたの? ……ってうわっ!?」
クラリスの指した方向を見るとポルターガイストとでも言うのだろうか。道の脇に置いてあったと思われるダンボールや紙が浮き上がり空中で動き回っている。
「ロッゾ!? 早く走るわよッ!?」
「またグロッキーになっちゃうよ!?」
クラリスは僕の抑制を聞かずに手を引きながら猛ダッシュをする。
2分間ぐらいだろうか。全力で猛ダッシュしてから出口らしきものが見えてくる。
「ハァハァハァ……で、出口だよクラリス……」
「ハァハァハァ……や、やったわね……」
何かに打ち勝ったように勝ち誇るクラリス。
途中で仕掛けなどを一切見なかったがこのルートで本当に合ってたのだろうか……。
そしてこの後二人ともグロッキーになったのは言うまでもないだろう。
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