27話 結婚記念日 その3
「今日はどこかお出かけする予定ってあるの?」
ゆったり朝食を食べた後、クラリスがそんな事を聞いてくる。
「一応あるよ、お昼近くからだけどね。クラリスは朝グダるの知ってたし、どうせなら遅めの方がいいかなぁーって」
「それもそうね。ナイスよロッゾ」
「お褒めに預かり光栄です魔王様。私は家の掃除があります故お昼近くまでゆったりとお過ごしください」
「苦しゅうない苦しゅうない〜」
そんな茶葉を繰り広げた後、僕は掃除機を取りに向かう。リビングに戻り掃除機を掛け、昨日の飲み会で出た食べカスなどを念入りに掃除する。
そのまま順調に掃除は進んでいき、クラリスの座ってるソファまで辿り着いた。
「クラリス足上げて〜。掃除機掛けたいから」
「はいはーい」
休日のおっさんの如くのっそりと足を上げソファに寝っ転がるクラリス。僕のお父さんみたいな事しないでよ……。最近クラリスがおっさん化しつつあるのがホントに心配です。
そんなこんなで掃除を一通り終えると、クラリスが出掛ける準備をしていた。
「お疲れ様ロッゾ、いつもありがとね」
「ありがとクラリス。クラリスも毎日お仕事遅くまで頑張ってくれてありがと。なんかクラリスにばっか任せちゃって悪いけどね」
「気にしないで、ロッゾは結婚する前まで十分頑張ってたじゃない。それにほら、いつか私達にも子供出来るかもしれないじゃない? 産休取りすぎると会社に迷惑掛かるし、かと言って両親に丸投げってのもアレだからね。そんな時に専業主夫のロッゾが居てくれたらそれだけで私の励みになるもの。だから負い目なんて感じなくていいのよ?」
「ありがとクラリス。僕はいいお嫁さんを持ったよ」
「け、結婚記念日とはなんか恥ずかしいわね……」
「結婚記念日なんだからこそ、恥ずかしいぐらいにお互いの愛を確認しなきゃだよ。クラリスの言う通り子供が出来たらそっち側で忙しいしね」
「それもそうね……。ま、そんな事は後でたっくさん考えましょ。今はロッゾとお出かけする事で頭がいっぱいだし……」
「それもそうだね。あ、お金はそんなに持ってかなくていいよ。僕のコツコツ貯めてたお金から出すから」
「え、私初耳なんだけど。そんなのいつ貯めてたの?」
「結婚する前だよ 。趣味用のお金を毎月1万円設けてたんだけど、趣味なんかに使う時間がなくてずっと溜め込んでたんだよね。後はクラリスから毎月貰うお小遣いとかもコツコツ貯金してたし、それもあってそこそこの額になってるよ」
「へぇ〜、確かにロッゾが趣味にふけってるのそんなに見なかったもんね。ひょっとしてお小遣いとかもあんまり使ってない感じ?」
「そうだね、野菜の種とかに使う時もあるけど基本的には使わないかな。これからは必要な時にだけ貰うシステムに変える?」
「うぅん、今のままで大丈夫よ。お祝い事とかに使ってくれるのは嬉しいし、ロッゾが急に何かに目覚めた時にいきなりお小遣い頂戴とは言いづらいでしょ?」
「それもそうだね。じゃあクラリスのお言葉に甘えようかな」
「そうしなさいそうしなさい。私は着替えてくるから、ロッゾも仕度しといてね?」
「りょうかーい」
そんなわけでそそくさと支度を始める。
今日は楽しい一日になりそうだ。
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