第30話 結婚記念日 その6
公園から徒歩で約20分、僕達は昔よく行っていた遊園地へと辿り着いた。この遊園地にはジェットコースターを初めとした絶対マシンや観覧車、おばけ屋敷やコーヒーカップと言ったオーソドックスなアトラクションが全て揃っている。昔はよくおばけ屋敷に行ってクラリスの反応を楽しんでたなぁ……。さて、今日はどんなアトラクションから乗り回してあげようかな。
「ほらクラリス、チケット買うよ」
「ん。じゃあ並びましょうか……とは言っても、やっぱり平日だからかしら。そんなに混んでは居ないわね」
「そうだね、この調子ならアトラクションもそんなに待たなくても良さそうだね」
「えぇ、そうね。あ、列が進んだわよ。行きましょ」
クラリスに手を引かれ、少しづつ列の流れに沿って受け付けカウンターへと進んでいく。7分程経つとようやく受け付けのカウンターへと辿り着き、そこで僕とクラリスの分のチケットを購入する。
そのまま遊園地全体のマップがある場所まで徒歩で歩き、そこでまず何に乗るかを決める。
「さて、何から乗ろっか?」
「んー、そうね……。まずは肩慣らしにジェットコースターなんてどう?」
そう言ってクラリスが指したのは、高低差がかなりあるジェットコースターだった。人にも悪魔にも個人差と言うものが存在するが、今クラリスが指指したジェットコースターはどう考えても肩慣らしレベルでは無い。いや、確かに普段からワイバーンに乗っているクラリスにとってはこの程度の高低差どうって事ないんだろう。でも最初っからこの高低差は厳しいなぁ……。クラリスに提案してもう少しハードルを下げて貰おう。
「ク、クラリス。最初なんだしもうちょっと抑えて貰えると助かるかなぁ……」
「やっぱロッゾにはハードル高かった?」
そう言ってニヤニヤしながらこちらを見るクラリス。
最初っから分かっててやったなクラリスめ……。
「じゃあロッゾ君の為に最初はこれにしましょう」
そう言ってクラリスが指を指したのは、大人からちびっ子まで大人気のコーヒーカップだった。
「これならロッゾも平気でしょ?」
「ま、まぁ思いっきり回されなきゃだけど………」
以前クラリスに思いっきりぶん回された記憶があるので少しためらってしまうが、最初なんだし少しぐらい手加減はしてくれるだろう。というか手加減してくださいお願いします。
「ここからコーヒーカップがある場所までは大体5分程あれば着きそうだね」
「えぇ、早く行きましょう」
クラリスが僕の手を引き歩く。何だかんだ言ってクラリスも楽しみなのだろう。
僕達2人の足取りはとても軽かった。
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