第23話 飲み会 その2

サラとロッゾをあまり待たせる訳にはいかないので、手短に着替えを済ませて下に降りる。リビングに着くと既にロッゾとサラがおでんの準備をしており、いつもとは少し違うおつまみが達がテーブルを彩っていた。


「お待たせ」

「案外早かったわねクラリス」

「そりゃ着替えてきただけだからね。さ、パーっとやっちゃいましょう‼︎」

「そうね、そうしましょう。ロッゾ君はどうするの? 2人だとそんなに盛り上がらないからよければ混ざって欲しいんだけど……」

「うーん……。じゃあお言葉に甘えて少しだけ飲もうかな」

「うん、それがいいわ。ほらロッゾ、私がお酌してあげるからグラス貸して」

「ありがと。じゃあ僕はサラさんにお酌しようかな」

「じゃあ私はクラリスに……」


そういう訳で、まずは私がロッゾのグラスにお酒を注ぐ。その後ロッゾがサラに。そしてサラが私にお酌をした後、皆でグラスを掲げて乾杯をする。


「それじゃあ今日の仕事が終わった喜びに──」

「「「乾杯‼︎」」」

「「「…………ッぷはぁ〜」」」

「やっぱり仕事終わりのお酒は最高ね。この瞬間の為だけに生きていると言っても過言ではないわ」

「それは過言でしょサラ。他にも楽しみなんて見つけようと思えば沢山見つかるわよ」

「とは言ってもねぇ……。時間という時間が無いし、そこまで暇も無いから厳しいわね……」

「やっぱ働いてると暇がなかなかできないよね。僕も昔は社畜社畜してたからその気持ち分かるよ」

「ロッゾ君って今は働いてなかったんだっけ?」

「クラリスとの結婚を機に辞めてね。クラリスにだけ働かせてちゃってるのは悪い気がするから、最近は内職でも始めようかと思ってる所だよ」

「ロッゾってホントにブラック企業勤めだったよね。土曜日以外は朝帰りで休みは日曜日だけ。そのくせ出社時刻が私より早いんだもの。そう思うと私達の仕事ってまだマシな方よね」

「うっわ、そんなに酷かったんだ……。その仕事辞めなかったらロッゾ君絶対体壊してたよ?」

「うん、僕もそう思う。だからホントクラリスには感謝してるよ」

「私だってロッゾが居なきゃ今の仕事続けられなかったわ。いつも支えてくれてありがとうね」

「……ハァ。やっぱ夫婦っていいわねぇ……。私も早く結婚したい〜」

「あ!! 合コンとか出てみたらどう!? もしかしたらいい相手が見つかるもよ?」

「行き遅れ間近のおばさんが合コンに出られる訳ないじゃない。考えてみなよクラリス。この年じゃ若い子なんて絶対掴まらないし、変な空気になって居ずらくなるのが落ちよ……」

「言われてみればそうね……」

「しょ、職場とかでは特に出会いは無いの?」

「出会いがあったらこんなに苦労しないよ……」

「な、なんかごめん……」

「大丈夫よ……大丈夫…………」

「ロッゾのせいで相当堪えてるわね」

「ホ、ホントにごめんね?」

「気にしないでロッゾ君。…………うん、もうふっ切れたわ。今日は飲み会よ。パーっと飲んでこんな事さっさと忘れちゃいましょ!!」

「そうね、明日の事は明日考えるのが1番よね。ロッゾ、お酒のお代わり頂戴」

「はいはい…………はいどうぞ。おでんよそるけど2人とも何がいい?」

「私は大根と糸こんにゃく。あと餅巾着で」

「魔界では全然見ない料理だけどどれも美味しそうね。私も無難にクラリスと同じのをお願いできる?」

「おっけー。……はい、お待たせ」

「ありがと」

「ありがとねロッゾ君」


ロッゾによそって貰ったおでんを受け取り、箸で大根を4等分にしてから口に運ぶ。


「ん〜、やっぱ美味しいわね。ちゃんとダシも染みてるし、お酒と合わせるとホント最高」

「…………んッ!! これすっごく美味しい!! 人間界にはこんな美味しい料理があるのね!?」

「喜んで貰ったなら何よりだよ。沢山食べて行ってね」


そんな会話を他所におでんを貪る私。

今日はまだまだ食べるわよッ……!!

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